コラム

OKI『Tonkori In The Moonlight』伝統から実験までが混在、ロンドンのレーベルから登場したアイヌ・トンコリ奏者の刺激的なコンピ

トンコリ奏者OKIのコンピレーションがロンドンを拠点にしたレーベル、マイシュ・ウン・ヂスコスから登場!!

 「OKIに出会わなければ自分はトンコリを知ることはなかったかもしれないしゴールデンカムイを読むこともなかったかもしれない」。というような声がついにヨーロッパからも上がる日が来た。つまり今回この初期音源集をリリースするのはロンドンのレーベル〈Mais Um Discos〉なのだが、同レーベルが送り出してきたルーカス・サンタナやハウイー・リー、民謡クルセイダーズと同様にアイヌ音楽がヨーロッパでも認知されたということなのだ。これはまさに記念碑的1枚。収録曲は1996年のデビュー作“Kamuy Kor Nupurpe”からOKI名義での最後の作品が発表された2006年までの録音からで、安東ウメ子の『ウポポ サンケ』参加曲やKiLA & OKI名義での楽曲も含まれている。この時期の楽曲はもろ伝統と実験的なものが混在しており、ジャズやアフリカ音楽、ダブなどとクロスオーヴァーしたものから、アイヌ特有なのかOKIの感性によるものか不明だが、西洋音楽理論的にあり得ない符割りや和音が、まぁとくに刺激的で面白い。

OKI 『Tonkori In The Moonlight』 Mais Um(2022)

 そしてやはりメイン楽器トンコリが最重要。基本的には弦5本、弦を押さえて音程を変えることはないというひじょうに奏でる音がシンプルな楽器で、ひとつのフレーズをひたすらループさせることが多い。そこがリズム的でアフリカ音楽に通じるものがあって好きなのだが、奏者の美意識や感情を表現できる繊細な楽器でもあり、音色は不思議と西洋楽器の中にあっても色彩豊か。素朴で優しく時に柔らかで美しい。

 最後にこれは余談だが、家の者が“Iso Kaari Irehte”を聴きながら〈アイヌの言葉は日本語みたい〉と言っていたのが印象的だった。沖縄の言葉もそうだが、意味は全くわからなくても外国語とは明らかに違う、地続きな感触。アホみたいな表現だがなんかすごい日本を感じたのだった。

 


LIVE INFORMATION

Output 10th ANNIVERSARY OKI OKINAWA LIVE -DAY1- Output
2022年3月11日(金)沖縄・那覇 Output
出演OKI/春はあけぼの/SOLVALS/THE BARCOX

OKI OKINAWA LIVE -DAY2- ”北からの音・南からの音”
2022年3月12日(土)沖縄・那覇 桜坂劇場 ホールA
開場/開演:17:30/18:00
出演OKI(歌・トンコリ)
ゲスト:與那覇有羽(歌/三線)/與那覇桂子(歌/島太鼓)/太田いずみ(歌)
https://www.tonkori.com/live/

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