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インタビュー

Barbara『Dance on Vacation』京都のインディー・ポップ5人組がダンサブルなサウンドでめざすヴァケーション・ディスコとは?

ヴァケーション・ディスコへようこそ! 京都のニューカマー5人組がめざす、どこにも存在しないリゾート空間。そこで鳴らされるダンス・ビートが導く風景とは?

 京都が拠点のインディー・ポップ・バンド、Barbara。2019年に活動をスタートさせた5人組が、現編成になってからの初EP『Dance on Vacation』をリリースした。本作には、ディスコやファンクからの影響が色濃いサウンドに、ブライトかつメランコリックなメロディーを重ねた6つの楽曲を収録。ダンスフロアはもちろん、プールサイドや浜辺といったリゾート感を堪えた風景のなかでも映えるポップソング集だ。

Barbara 『Dance on Vacation』 SECOND ROYAL(2022)

 「Barbaraのコンセプトは〈ヴァケーション・ディスコ〉なんです。僕たち日本人の多くはヴァカンスに縁がないと思うんですけど、ヴァカンスと聞いたときにそれが素敵なものだとイメージはできる。リアリティーがなくても何かいい感じを伝えられるような音楽をめざしています。プールやホテルをモチーフにした絵をよく描いているデヴィッド・ドーランというイラストレーターがいて、彼の作品も雰囲気はあるけれど、実際にどこの場所を描いたものなのかはわからない。そういう無機質なんだけど温度を感じさせるテイストがいいなって。加えて、ディスコ=思わず身体が動いてしまうサウンドというのも大事で」。

 そう語るのは、フロントマンにしてソングライターのYodai Okuhata。彼は活動休止中のロックンロール・バンド、Seussのベーシストとしても知られている。

 「Seussでは曲を書いていなかったし、自分に作曲の才能はないと思っていたんです。でも周りの後押しもあり作ってみたところ、ガールズみたいな曲が出来て。そのタイミングでSeussが休止することになり、自分の曲を演奏するバンドを作りたいと思いました」。

 そして、Okuhataのもとに集まったのは、元バレーボウイズのHiroyuki Yano(ベース)、Mariana in our HeadsのTakuya Morimoto(ドラムス)、同じくSeussのYuki Kaneko(ギター)、そしてSpecial Favorite MusicのYusuke Kume(キーボード)。関西のインディー・ロックの実力者たる5人によるグルーヴィーなアンサンブルはEPの聴きどころのひとつだ。

 「結成当初の音楽性はいまほどダンサブルではなく、バンド名のもとになったビーチ・ボーイズやゾンビーズに近いソフトなポップスでした。最初にリリースしたEP『Where Water Comes Together』(2020年)を聴いてくれた友だちから〈作業用BGMとしてすごくよかった〉と言われたんです。その言葉を嬉しいと思いつつ、同時に違和感もあった。僕は生活に寄り添う音楽をやりたいわけではないなって」。

 つまり、Barbaraがめざしているのは、〈日常のサウンドトラック〉ではなく、聴き手をどこかに連れていってくれる音楽。そんな彼らにとって〈ヴァケーション・ディスコ〉を感じさせてくれるバンドといえば?

 「真っ先に思い浮かぶのはオーストラリアのパーセルズ。新しいEPを作るうえで、彼らの音作りを研究しました。SNSの使い方なんかもバンドの世界観を伝えるという点ですごく上手いし、いろんな面でBarbaraにとってはベンチマークとなっている存在です。あとLAのネオ・ソウル・ユニット、マリアスからの影響も大きいかな。彼女たちがEPのリスニング・パーティーを仲間と開いている動画があるんですけど、その映像は今回のEPでめざす雰囲気をメンバーに伝える際に共有しました」。

 ギター・カッティングがキラキラと輝くディスコ・ポップ“Don’t Say A Word”で幕を開ける『Dance on Vacation』。その後も、エディットされたドラムから醸されるファンクネスがたまらない2曲目の“Give Me Your Love”、軽やかさとともに女性を讃える“For Lady Birds”、パーカッションが聴き手をフロアへと誘うその名もずばりの“Dance”とダンス・チューンが続くが、EPのなかで少しだけ異色なのが5曲目の“A.L.A.R.”。こちらはディストーションの利いたギター・サウンドが特徴のサイケデリック・ロックだ。

 「トロ・イ・モワがカリフォルニアの砂漠でライヴをしている映像が大好きで、この“A.L.A.R.”は同じ場所で自分たちが演奏していることを想像しながら作ったんです。EPの曲順はヴァカンスの一日を想定して決めていったんですけど、この曲は午前2時くらいの風景。若者たちが眠気に逆らいながら夜を過ごしているイメージです」。

 バンドとしては、〈ディスコ〉以上に〈ヴァケーション〉感を強く出したという本作。その反動もあってか、現在のバンドは前者を深堀りしたいというムードにあるそうだ。

 「やっぱり踊ることが大好きなんです。所属しているレーベル、SECOND ROYAL主催のイヴェントや多くのDJパーティーに足を運んだことで、音楽に合わせてダンスすることはこんなに楽しいんだと思えた。ダンスって踊る側が主体的にならないとできない行為ですよね。受け身ではその良さがわからない。でも、心を開いた瞬間にその世界のなかに入っていける。Barbaraもそのきっかけになるような音楽を鳴らしたいんです」。

左から、Seussの2019年作『LOVE』(SECOND ROYAL)、バレーボウイズの2019年のミニ・アルバム『青い』(felicity)、Special Favorite Musicの2021年のシングル“Last Train Seaside”(FRIENDSHIP.)

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