ロシア・ピアニズムの名伯楽ゴルノスタエヴァの愛弟子、ホロデンコはライナーノートの冒頭で、故郷の地、〈自由で独立したウクライナの不屈の民に〉と献辞を捧げた。ロシア舞曲を主題とする楽聖の愛らしい変奏曲を冒頭に、2021年6月に死去したジェフスキーの名作“不屈の民”変奏曲を軸とし、ロシアの作曲家による箴言的な小品を巻末に置く。録音は2021年夏(なおロシアのウクライナ侵攻は翌年2月24日に始まる)。ジェフスキーが5分とだけ指定したカデンツァ、第36変奏でホロデンコは何とドアーズを引用、“ジ・エンド”を前奏から奏で、アタッカで主題へと回帰させる。ホロデンコの意志を汲み取りつつ、傾聴したい。