(C)Van Cliburn
 

ヴァディム・ホロデンコ、プロコフィエフの魅力を語る

――プロコフィエフの協奏曲を聴き、作曲家のモダニズムは今も健在だと思いました。

 「プロコフィエフが旧ソ連に復帰した時、“ソヴィエトのベートーヴェン”と公称されましたが、実際、2人の作曲家はいくつかの特徴を共有します。ひとつは、表現の明晰さ。プロコフィエフの音楽語法は複雑なようでいて、とても簡潔で精確、なおかつ感情豊かにメッセージを放ちます。これらが一体となって今なおモダンさを保ち、聴衆にもはっきり伝わるのです」

――ハース=ベドヤさんとの共演はいかがでしたか?

 「プロコフィエフの録音の発案者はミゲルでした。彼を媒介にして、フォートワース響の優れた技量を備えた楽員たちと高いレベルのコミュニケーション、建設的関係を共有できたのは、喜び以外の何物でもありません。目下、米国を本拠にして4年目のシーズンに当たり、アスペン音楽祭での再演、ワシントンDCへのデビューなどを控えています」

VADYM KHOLODENKO,MIGUEL HARTH-BEDOYA,FORT WORTH SYMPHONY ORCHESTRA プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.16/ピアノ協奏曲第5番ト長調Op.55 Harmonia Mundi(2016)

――あなたの国際キャリアの始まりは仙台でしたね。

 「仙台は特別な場所であり続けます。日本だけにとどまらず、世界のキャリアの最初の大きな一歩でしたから。自分の人生の様々な局面において、親身に助けてくださった人々を心から愛します。仙台で弾き、旧友と再会するのはいつも、大きな楽しみです」

――10月の日本でのソロ・リサイタルには、ファツィオリのピアノを選びました。

 「今回は2人の作曲家、ショパンスクリャービンに的を絞ることになるでしょう。ショパンは昨年亡くなったモスクワ音楽院時代の恩師、ヴェラ・ゴルノスタエヴァ先生へのささやかなオマージュ。《夜想曲》と《スケルツォ》の何曲かを選びました。スクリャービンの《ソナタ第4番、第5番》は《24の前奏曲作品11》を学んだ後で、私の心をとらえた作品です。ショパン、スクリャービンとも音色やソノリティの質に対して絶えず、特別な注意を必要とします。私の心に浮かぶ音の色彩を輝かしく再現するパレットを備えた名器、ファツィオリを弾くことができ、幸せです」

 


LIVE INFORMATION

ヴァディム・ホロデンコ ピアノリサイタル

○10/7(金)19:00開演 会場:豊洲シビックセンターホール
○10/10(月・祝)14:00開演 会場:美浜町生涯学習センター なびあす(福井県)
曲目:ショパン:ベルスーズ、ノクターンop.15-2,3,op.48-1,2/スケルツォ1番、4番/リスト:超絶技巧練習曲より/9番「回想」、6番「幻影」、5番「鬼火」/スクリャービン:ソナタ第4番op.30,第5番op.53
www.vadymkholodenko.com