新たな表現手法を獲得し、同時に楽曲のレヴェルを上げていくのは並大抵ではない。しかし、バンド結成25周年というキャリアに胡座をかかず、さらなる高みにこの9作目で到達した。映画「THE FIRST SLAM DUNK」エンディング曲の“第ゼロ感”は打ち込みを導入した秀逸曲だが、デジタル・ハードコア調のオープナー“SLAM”の流れで聴くと、よりいっそう映えていて驚くばかり。また、韻を踏んだ歌詞に耳を奪われる“和”も素晴らしく、冒頭3曲だけで傑作を確信するほど。他にトライバル・メタル風の“aRIVAL”、哀切な美メロに酔う“アオ”などの既発曲も作品内でよりいっそう輝きを放っている。そして、三線とストリングスを用いたラスト曲“深海魚”におけるTAKUMAの唄が白眉。