OPUS OF THE YEAR 2023
[特集] bounceが選ぶ2023年の100枚+
ゆく年くる年。ゆく音くる音……いろいろなことが起こりすぎて、何とも言えない気持ちになることの多かった2023年。さっさと忘れてしまいたい気持ちもありつつ、それでも、そんな日々を彩った音がこんなアルバムたちと共に素敵な記憶として残っていきますように。まずはこの100枚から!!
100MOIDE IN MY HEAD 2023
bounceが選ぶ2023年の100枚

アリ・レノックスやマニー・ロングら当代トップの女性R&Bシンガーたちを主役に迎え、自身は脇役に徹したリーダー作。ここからココ・ジョーンズやアマレイが躍進したほか、SZAの“Snooze”という副産物もデカかった。 *出嶌
パンク・リヴァイヴァルが各方面で主張された近年ですが、2022年の最後に放たれた本作こそが決定打でありピーク・ポイントだったかも。16年ぶりのアルバムに全世代のキッズが飛び込んだのでした。 *田中

トラヴィス・スコットやヤング・サグとの仕事もあったヒット請負人だが、2023年はウィークエンド&21サヴェージとの“Creepin’”を含む自作が格別。「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」のサントラも話題に。 *出嶌
湘南出身のシンガーによる初アルバムは、アンニュイな歌声とサイケデリックなサウンドが好相性。DJ Mitsu the Beats、Olive Oil、NEIというヒップホップ畑との接続も含めて、芯を感じさせる一枚だった。 *田中

ハードなスピットから朴訥とした歌声にスタイルを大きく変更し、アマレイやサンファも交えて荘厳な意匠を纏ったデフ・ジャム移籍作。フローとの共演も経て、2023年を通じて見せたラップ回帰路線の向かう先も気になる。 *出嶌
“第ゼロ感”を「THE FIRST SLAM DUNK」に提供/ヒットした経験が、バンドに翼を与えたことを感じさせる充実作。韓国での大規模ワンマン、年末の「紅白歌合戦」まで、ここにきて3人はまた新たな地平へと向かっている。 *田中

ジャケからも伝わるアーティスティックな我を貫いて制作陣を一新しても、エレガントな歌唱と未来的な左岸ビートが織り成す心地良い刺激の本質は変わらず。2023年はピンクパンサレスとの共演もあった。 *出嶌

大半を英詞曲が占める世界デビュー作。〈ロックの伝統〉を背負わせたい向きの期待はともかく、ラミ・ヤコブやジャスティン・トランターら売れっ子と絡んだ端正なグラム・ポップは日本のお茶の間にもフィットするものでした。 *出嶌
ヴィヴィッドな6人組アイドルが始動からの軌跡を記録したベスト盤的な初作。ウ山あまねら多彩な制作陣とハイパーポップ以降のスタイルを模索し、この後のEPも含めて野心的な動きを見せてくれた。 *出嶌

本作がリリースして間もなく空へと発ったという事実を踏まえても特別な作品であり、鍵盤の音色に交えて録音されている彼の息吹に生の尊さを想う。手を合わせながら耳を傾けた、最後の授業。 *田中

前年のフリーキーなハイパーポップ“Unholy”での初の全米1位獲得にも後押しされたのか、今作では奔放に音世界を拡張。落涙のダンスソングからレゲエまでを乗りこなす歌にギラギラしたものが漲っていました。 *田中
“それを愛と呼ぶなら”などの劇的な名バラードを含む約3年ぶりのアルバムは、それらとコントラストを描く自作曲なども束ねた頼もしい意欲作に。優里、橋口洋平(wacci)、Ayaseの楽曲提供も新鮮だった。 *出嶌

カルト宗教をテーマに現代人の病みを写したような、それでいてカリブ~アフロ系のビートが立ったダビーな聴き心地は快い佳作。しかし、グレアムのバンドやデイヴのソロに続いてまさかブラー本尊まで控えていたとは。 *出嶌

チェアリフト時代からのポップセンスとPCミュージック流のレイヴィーな音が融合。共同制作のダニーL・ハールはデュア・リパの新曲にも関与して、さらに重要人物になりそう。 *田中

古巣ラーメンへの帰還という話題以上に、15年ぶりにニール・アヴロンと組んだことがデカい快作。エネルギッシュなバンド・サウンドに立ち返りつつ持ち前のポップネスを発揮した作りが際立っていた。 *出嶌
懸命に生きているがゆえの軋轢や苦しみを、ざらついたギター・サウンドと共に表現する3人組が、より多彩な音楽性を開拓。オアシス流儀のアンセム“君が言うようにこの世界は”を何度も聴いた。 *田中

スペイン語作を経て、改めてオーセンティックなR&Bにフォーカスして成功を収めた一枚。P2Jらがスムースな手腕を発揮するなか、“I Wish You Roses”を手掛けたディラン・ウィギンズの活躍も2023年は目立っていた。 *出嶌
レゲトン~ラテン・アーバンの現行トップによる2023年指折りの傑作。タフな美しさと風格が伝わる活力に溢れた仕上がりで、女性アーティストの全編スペイン語アルバムとしては史上初の全米1位に輝いてもいる。 *出嶌
若手の台頭するバンド・シーンにおいて、赤裸々な歌詞と少年性を帯びた歌声で人気を博す4人組のメジャー初作。バラードなどのスロウで特に、正直さゆえの美しさが煌めく。 *田中

ふたつのミラクルな共演が起きた年、本作におけるMummy-Dとのジョイントはそのひとつ。SHINGO★西成らゲストと紡ぐ友とのストーリーは、ヘッズならずとも刺さりまくりで……。 *田中

結成時以上に各人の存在感を増したトリオの初アルバム。名盤以外には付けられない名前を冠した本レコードは、すでに米国音楽の新スタンダードといった風格だ。グラミーにも6部門でノミネート! *田中
櫻井敦司の勇姿を刻印した作品として忘れられないものになった通算23作目。持ち前の不穏さとポップさの隣り合う世界観が、デビュー35周年を迎えたバンドとしての確固たる独創性と美意識を見せつけてくれた。 *出嶌

前作『ハレンチ』から一転、韓国デビューの経験も踏まえて従来のR&B路線からポップ・パンクにアプローチするなどグローバルな指標に照準を当てた意欲的な4作目。Awichを迎えた“美人(Remix)”も最強だった。 *出嶌

この年に残したアルバム2枚のうち、数学記号シリーズの最終作となったこちらはテイラー・スウィフトの影響でアーロン・デスナーを迎えたフォーク作品に。その感触を深めた次作『Autumn Variations』も好盤だった。 *出嶌

24年ぶりの作品ながら、包み込むような歌声、生音とエレクトロニクスで編む繊細な音作りは変わらない。ドラムンベースに多くのリスナーが目を向けた2023年、2人の復活は必然のようでもあって。 *田中
初作からおよそ半年、初の武道館を控えて届いた2作目は、凱歌のような“ANSWER”などで従来のクールさを磨きつつ各々の人間味も表出したバランスのいい傑作に。さらに半年後のEP『HOW HIGH?』も絶好調でした! *出嶌
前年の再始動からの足取りを集大成した4年ぶりのフル・アルバム。ギラギラな“SUPER PARTY PEOPLE”や多彩なユニット曲、この後の新機軸『The Night Park E.P.』も含めて野心的な試みで楽しませてくれました。 *出嶌
エモ、エレクトロニカ、パンク、チェンバー・フォークなどバンドがこれまでに志向してきた音楽性を、楽曲ごとのバランスで配合。現編成では最終作となったアルバムで、ここに辿り着けたのは大きい。 *田中

80年代ロック的な前作『Plastic Hearts』から揺り戻し、親しみやすいマイルドなダンス・ポップが軸になった8作目。ファンキーな“Flowers”がここにきてキャリア最大のヒットとなろうとは! *出嶌

VHSでさんざん耳にした音響会社の宣伝音で幕を開ける作りこそハイパーポップ印ながら、ストレートにパンクやスカを鳴らしている瞬間にこそアガる。〈脱構築〉な気分の先を嗅ぎ取った技アリの一枚。〈フジロック〉初登場も。 *田中
海の向こうでレジェンドたちがお盛んだった2023年、ここ日本でもマーチンがエネルギッシュな傑作をナヴィゲーション。堂本剛やAyaseら後進たちも召喚したソウルのフルコースに何度も舌鼓を打ったのでした。 *田中

新年には来日も決定したノースカロライナ産バンドの、大きな敬意を集めることになったデッド・オーシャンズ移籍作。シューゲイザーとカントリーの融合したオルタナ・サウンドをアーシーに響かせる様が実にエモーショナル。 *出嶌

インティメイトな温度感は残しつつも、インディー・ポップに接近した演奏やレフトフィールドな音作りを積極的に導入。思春期性や青さの香る歌声には、前作以上に彼女の素顔が映っている。 *田中
ある種の使命感や責任から解放されたかのような空気感が実に魅力的。アフロやラテンの要素を持ちつつ、〈環境音楽〉的なモードでまとめられた本作は、どんな時間にもハマ(りすぎなか)った。 *田中
BBHFも高く評価されているなか、7年ぶりに再始動して届けた新作は、清涼な音作りとオーセンティックな歌心が軸。リアルに時代が追いついた感もあり、ただ音楽としてそこにある佇まいが感動的だった。 *田中
ESME MORIやケンモチヒデフミらのダンサブルなトラックとフィール・グッドな空気感が、この年前半のバック・トゥ・ライフな気分にマッチ。grooveman Spot製のハウシーな“friends”は街に繰り出す際のBGMでした。 *田中

ニューウェイヴな前作の路線を華やかに推進した壮麗なミラーボール絵巻。ガラージ~ラテン~イタロ~フレンチ・ハウスなど多彩な音が飛び交う中でソウルフルな持ち味も活きた2023年屈指のフィール・グッド盤でした。 *出嶌
気鋭のジャズ・ドラマーが実験精神を剥き出しにしたワープ移籍作。本人のラップも含め、時流とは無縁の創作意欲によって異形のビート・ミュージックを削り出したような、プリミティヴな姿勢が音に宿っていた。 *出嶌

初作で特大ブレイクしたスコットランドの才人による2作目。不調で〈フジロック〉は出演中止するも、“Wish You The Best”など3曲連続で全英1位を獲得する規模感はジンクスと無縁だった。 *出嶌

レフトフィールド・ベース界隈で多くのバンガーをドロップしてきた兄弟の初フル・アルバム。鋭角的なビートはガラージ起点でありつつ、声で持っていく感じがキャッチー。ビッグ・アクトにまっしぐら! *田中

初作からちょうど30年……諸々を乗り越えてきた大ヴェテランならではの強固な一体感に満ち満ちた6年ぶり10作目。流行り廃りに関係なく好きなことをやれることこそがレジェンドの証だと実感させられた力作だった。 *出嶌

ストーンズもまだまだ若造だな!と言ったかどうか知らないが、83歳での新作! 純粋なオリジナル・アルバムとしては14年ぶりながら、御大ならではのソフトで妖美な歌世界は余裕で健在。タイムレスな説得力に溢れた一枚だ。 *出嶌

多くの人が2023年のトップに挙げるのも納得の、傑作のような傑作! 昭和歌謡のような“Kill Bill”や直球のスロウ“Snooze”、カントリーの“Nobody Gets Me”など喜怒哀楽やノスタルジーを写す表現の隅々までが最高だ。 *出嶌
ブレーン的な存在のM-Swiftこと松下昇平を主軸に、エドブラックやmabanuaを迎え、優美かつ心地良いグルーヴを会得。一切足止めされることのないスムースなドライヴの如き爽快さを持った極上の初アルバムだ。 *田中

ANOHNI AND THE JOHNSONS 『My Back Was A Bridge For You To Cross』 Rough Trade/BEAT(2023)
久しぶりにジョンソンズ名義となった本作は、ペイル・ジェイらカーマ・チーフ勢とも並べて聴けそうな、優美で落ち着いたソウル・サウンドが絶品。有事の時代、心をカームさせてくれる一枚でした。 *田中
まず音の良さに驚いたが、6年ぶりのアルバムは、内省の期間に巡らせていたであろう彼の思索をなぞるかのような言葉が胸を打つ。ダリル・ホール来日公演への出演など活動の軽やかさも印象深い。 *田中
クラムボンでの『添春編』も届いた2023年、実に15年ぶりのソロ作も大きな収穫だった。ピアノ弾き語りの宅録をいろんな声や環境音などと融和した音空間を展開。谷川俊太郎、rei harakamiとの“いまここ”が凄い。 *出嶌

シェウン・クティ&エジプト80を迎えた冒頭曲からオーガニックな音作りのもとでアフリカン・アメリカンたる己を表現。官能への欲求を躊躇なく肯定する身振りがしなやかで、どこまでも眩かった。 *田中

友の喪失や子の誕生などを経て完成した6年ぶりの3作目は、2ステップ的な楽曲など2023年っぽさもありつつ、フリーキーなビートが圧巻。エモくなりすぎない語り口にも心震わされまくりでした。 *田中

前年の終盤にサプライズ・リリースされた本作は半年を経て、フィジカル盤が登場。エレガントなサウンドに反して、怒りをぶつけた作品になっており、その矛先は不平等や搾取が蔓延する音楽業界だ。 *田中



















