ザンビアで生まれ、現在はメルボルンを拠点に活動しているサンパ・ザ・グレイトのニュー・アルバム。これまでと同様、ヒップホップやネオ・ソウルを軸としたサウンドは、彼女の作品を聴いてきた者からすれば馴染み深いものだろう。そういう意味では過去作との関連性が強い深化が特徴と評することもできる。とはいえ、ンゴマドラム、TR-808などを用いたリズムはヴァラエティー豊かで、この点は進化も見られる。歌とラップの境界線が曖昧な歌声に乗った歌詞にも耳を引かれた。ルーツに向けた敬意や、黒人であることを祝福する姿勢は以前から顕著だったが、本作ではその姿勢を示すための語彙が飛躍的に増えている。そこには、表現者としてまたひとつ成熟した彼女の姿がちらつく。