今年3~4月に沖縄と東京でのみ行われた公演の模様を収めた、実に8年ぶりのリユニオン作。両者+ピアノ・トリオという編成やレパートリーは、前作『cure jazz』を基本的には踏襲しているが、アンサンブルはかなりの変貌を遂げており、そこが聴きどころだろう。甘美なエレガンスと不穏な緊張感がマジカルな共存を見せているのが前作の特色だったが、ここではアヴァンな作法が幾分か前に出ているように感じられた。この変化を8年間の世相と結びつけることもできるだろうし、唯一の新曲“Amaiyu”が、UAが震災後に移住した沖縄の民謡からの影響を多分に感じさせることも示唆的ではある。ともあれ、この圧倒的に美しく、時にチャーミングなパフォーマンスには、誰しもが引き込まれるはずだ。

【参考動画】UA×菊地成孔〈cure jazz reunion〉ドキュメンタリー