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いよいよ開催まで2週間を切った〈FUJI ROCK FESTIVAL ’24〉。2024年7月26日(金)、27日(土)、28日(日)に行われる日本が世界に誇る音楽フェスは、新潟・苗場スキー場に会場を移してから今年25周年を迎える。

タイムテーブルも発表され、Amazon Musicでの生配信も決定した今年のフジロックをさらに楽しんでもらうため、Mikiki編集部では急遽座談会を実施。ヘッドライナーはもちろん、各自がどうしても観たい注目アクトなどについて語り合った。現地に足を運ぶ人も、配信でチェック予定の人も、フェス直前のワクワク感を以下の対話から味わってもらいたい。

 

今年のフジロックの顔となるヘッドライナー3組

天野龍太郎「〈FUJI ROCK FESTIVAL ’24〉の開催が迫っていますね! 日本のフェスの代名詞の一つであるフジロックといえば、やはり海外アーティストを中心にしたラインナップに注目が集まります。とはいえ、今年は全12ステージが用意され、3日間で総勢216組も出演するという規模の大きさに、何を観ればいいの?と迷っている方も多いはず。そこで今回は、編集部員である我々がMikiki的な視点からおすすめのアーティストや見どころについて語り合いたいなと思います」

小田淳治「まず触れておかなくちゃいけないのは、フェス初日のヘッドライナーだったSZAの出演キャンセルについてですよね。2022年末にリリースされた『SOS』が世界各国の音楽メディアから高い評価を受けて、今年2月のグラミー賞では3部門を受賞したばかり。まさにキャリアハイを迎えたタイミングでの初来日で、さらにそのステージがフジロックのヘッドライナーというこれ以上ない舞台に多くの音楽リスナーが歓喜しました。その反動もあってか、突然の出演キャンセルの発表にいろんな意見が飛び交いました。自分も純粋にショックでしたね……」

天野「『SOS』は傑作だったし、ツアーも話題になっていたSZAは、個人的に今年のフジロックでいちばん観たいアーティストでした。本当に残念でなりません。とはいえ、代打での出演が急遽決まりました!」

ザ・キラーズ

小田「まさかザ・キラーズが登場するなんて一体何人が予想していたか……。実は当初から今年のヘッドライナー候補の1組だったそうで、SZAのキャンセル後、すぐに正式オファーしたら出演OKとなったという経緯もSMASH担当者へのインタビューで明かされてましたね。

来日は2018年以来ですが、フジロックには20年ぶりのカムバック、さらに今年はデビュー作『Hot Fuss』(2004年)のリリース20周年という節目でもある。“Mr. Brightside”“Somebody Told Me”“Smile Like You Mean It”といったアンセムの大合唱は必至ですね」

天野「日本での人気が高いアーティストですし、何よりも生粋のライブバンドですよね。日が暮れたGREEN STAGEが大盛り上がりになっている様が目に浮かびます。

ただ、“Mr. Brightside”だけじゃないよ!というのは、声を大にして言っておきたいんですよね。近作がいいんですよ。『Wonderful Wonderful』(2017年)以降も『Imploding The Mirage』(2020年)、『Pressure Machine』(2021年)と快作続き。今年6月以降はベスト盤『Rebel Diamonds』(2023年)のツアー中で、パフォーマンスの仕上がり具合にもグレイテストヒッツ的なセットリストにも期待が高まりますね」

小田「ザ・キラーズの流れで残る2組のヘッドライナーにも触れていきましょうか。2日目はクラフトワークがGREEN STAGEのトリを務めますが、今回が初フジロックなんですよね。前回の来日時(2019年)の3Dライブも観ましたが、LEDビジョンを大胆に用いたステージングが苗場の大自然とどう調和するか気になります。そういえば今回の来日にあわせてワーナーからオリジナルアルバムがリイシューされていましたね。

フジロックと直接関係はないですが、クラフトワークの出演がアナウンスされた数日後、ダモ鈴木の訃報が届いたことも強烈に覚えています......」

クラフトワーク

天野「クラフトワークもダモ鈴木がメンバーだったカンも、1970年代のドイツの実験的なロックシーンの重要な存在でしたからね。年長のロックリスナーだったら、音楽性はバラバラですが、〈クラウトロック御三家〉みたいな感じでクラフトワーク、 カン、ファウストあたりを聴いていたはず。クラフトワークも、オリジナルメンバーだったフローリアン・シュナイダーが2020年に亡くなってしまいました。

それはともかくとして、クラフトワークといえばビジュアルやパフォーマンスを含めたコンセプチュアルでトータルなステージが真骨頂なわけで、今回のトリを見逃すわけにはいかないでしょう! ロック系のアクトが多い中、電子音を大音量で山間に轟かせるライブに期待大です」

小田「最終日のヘッドライナーはノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズですね。今年はオアシスのデビューアルバム『Definitely Maybe』(1994年)の発売から30年、8月末には記念盤もリリースされます」 

ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ

天野「フジロックのヘッドライナーは3回目。関係が深いアーティストです。というか去年、ツアーで来日していたし、また来るの!?と思った人も多いはず(笑)。ただ、全公演がソールドアウトしていたので、見逃したファンも多いでしょうね。なので、〈今回こそは〉というノエラーは苗場に行くしかない。あとは最近、アニメ映画『ルックバック』からオアシスの“Don’t Look Back In Anger”が再注目されているという不思議な状況もあるので、“ドンルク”を今こそ生で聴きたい人も多いのでは?

去年のパフォーマンスについてはライブレポートをぜひ読んでいただきたいのですが、ハイ・フライング・バーズの新作『Council Skies』(2023年)の曲からオアシスの名曲までが惜しげもなく披露されているので、『Council Skies』やオアシスの有名どころはぜひ押さえておいてください。ノエルの近作も、フォークロック的ないぶし銀の温かい世界がいいんですよね。歌心とロック的な興奮が楽しめると思います!」