記録的なヒットで世界を魅了したシンガー・ソングライターが、〈フジロック〉再登場を控えた絶好のタイミングで待望の2作目を完成! さまざまな悲しみを経験した彼の歌には新たな力が宿っている!
苦しみを乗り越えて
力強くも繊細な歌声で人々の心を虜にしてきたルイス・キャパルディ。頼れる人を失った悲しみを歌う“Someone You Loved”は聴くたびに感動が押し寄せる名曲中の名曲だ。2018年のリリース以来、英米をはじめとする世界各国のチャートを制覇し、ブリット・アワードなど多くの音楽賞を総舐め。新人ながらグラミー賞の楽曲部門でノミネートを受けるなどの快挙を成し遂げた。2019年を象徴するメガヒットとなったこの曲は、7週連続で全英1位を獲得し、同年のUKでもっとも売れたシングルに。同じくチャート首位に輝いたファーストアルバム『Divinely Uninspired To A Hellish Extent』は、英国で最大のセールスを上げたアルバムに2019年と20年の2年連続で認定された。コロナ禍には人々の心の支えとなり癒しとなり、いまなお広く長く愛され続けている。
その前作から約4年、セカンド・アルバム『Broken By Desire To Be Heavenly Sent』がついに届けられた。すでに欧米ではアルバムを引っ提げたツアーもスタート、7月には〈フジロック〉での来日も決まっている。〈フジロック〉出演は2018年以来となり、来日は2020年1月の東京・LIQUIDROOM公演以来。いまやすっかりビッグになった彼をこの目で、耳で確認できる貴重な機会となりそうだ。
そもそもライヴには定評のあるルイス。スコットランドの地元のバズゲイトから程近いグラスゴーやエジンバラで歌いはじめたのが11歳の時。兄の助けを借りてパブに潜り込み、ギターを抱えて歌っていた。自分で曲を作ったり、それをネットにアップしはじめたのもその頃から。本気でシンガーになりたいと決意を固めてからは、家族のサポートを得て、それこそありとあらゆるパブやライヴハウスで歌ってきた。ネットに上げた音源をきっかけに幸運を掴んでレコード契約を結び、2017年に“Bruises”でデビューを果たしてからも、ライヴ活動を積極的に進めてきた。サム・スミスからバスティル、ナイル・ホーラン、エド・シーランまで、さまざまなアーティストのオープニングアクトを務める一方、もちろん自身がメインのツアーも行い、フェス出演も果たしている。が、2021年にはライヴ活動を一旦すべて中止、本作の制作に専念することに。というのも“Someone You Loved”を超える名曲を作らなければ、というプレッシャーや自己評価の低さなどと闘っていたからだという。その苦しみはNetflixで配信中のドキュメンタリー「ルイス・キャパルディ:今、僕が思うこと」にも克明に描かれている。しかし、もちろん彼は暗いトンネルを抜け出して、ニュー・アルバム『Broken By Desire To Be Heavenly Sent』と共に帰ってきてくれた。