写真提供/ブルーノート東京 撮影/山路ゆか

ニュー・トリオとともに、パンデミック後の新たな世界に羽ばたく、ジョーイ・アレキサンダー

 コンテンポラリー・ジャズ・アーティストとしての第一歩を刻んだ、全作オリジナルで構成されたアルバム『Origin』のリリースから1年。19歳になったジョーイ・アレキサンダー(ピアノ/キーボード)が、ついに来日公演を果たした。

 「2021年の6月に、『Origin』をレコーディングしていたときに希望をテーマにした曲を創り、パンデミックが終わったら、このアルバムの曲でツアーをめぐり、多くの人と私の音楽をシェアしたいと思っていた。それが日本でも実現して、感無量だよ」と、ジョーイは語った。

 「2015年にアメリカに来てから、怒涛の日々を過ごしていたから、パンデミックで全てが停止した時は、創作のモチベーションをキープするのが難しかった。『Origin』のレコーディングの前の5ヶ月間、私は故郷のバリ島に滞在し、音楽から距離をとった生活をした。そこから新たに湧き上がったアイディアから『Origin』が生まれた」

 『Origin』リリースの後ジョーイは、現在拠点としているボルチモア出身のクリス・ファン(ベース)、ニューヨークのファースト・コールの一人、ジョン・デイヴィス(ドラムス)とニュー・トリオを結成した。2022年から、このトリオとアメリカ、ヨーロッパを巡り、今回は東京とジャカルタでプレイする。5月31日のブルーノート東京でのギグでは、『Origin』からのセレクションに、ジョーイが作曲家としての自我が目覚めたと語る2018年にリリースしたアルバム『Eclipse』から、故郷を描いた“Bali”、サム・リヴァース(テナー・サックス)の“Beatrice”が並んだ。フェンダー・ローズ、メロトロンも効果的に使った起伏に富んだサウンドで、ジョーイはオーディエンスを魅了する。

 「クリスは、4、5年の付き合いになる。ボルティモアに移ってからは、一緒にハングアウトしている。ジョンと知り合ったのは2、3年前かな。私はさまざまなミュージシャンとプレイしているけど、彼らの繊細なアプローチが、今の私の音楽にフィットした。素晴らしいトリオだよ」とジョーイは自らのトリオを語る。

 「この3人に、シオ・クローカー(トランペット)が加わったメンバーで、トリオ、クァルテットのアルバムを録音した。『Contiunance』と名付けたアルバムは10月にリリースされる。ぜひ期待して欲しい」

 ジョーイ・アレキサンダーは、新たなトリオとともに、パンデミック後の新たな世界へ羽ばたく。