Photo by Roy Cox

ワーキング・バンドにゲストを迎え、コンポーザー/ピアニストとして、頂点を目指すジョーイ・アレキサンダー

 昨年、コロナ・パンデミック下で書き溜めていたオリジナルで、全曲を構成したアルバム『オリジン』をリリースし、コンテンポラリー・ジャズ・アーティストとして、大きな一歩を踏み出したジョーイ・アレキサンダー(ピアノ/キーボード)。そのレコーディングの勢いのまま、2021年から、この3年間行動を共にしているクリス・フィン(ベース)、ジョン・デイヴィス(ドラムス)とツアーに乗り出した。このワーキング・バンドに、今最も熱いトランペッター、シオ・クローカーをゲストに迎えて録音したニュー・アルバムが、いよいよリリースされる。『オリジン』の続編という意味も込めて、『コンティニュアンス』とタイトルされた。さらに成熟したオリジナルと、クリスチャンのジョーイが子供の頃から親しんだ賛美歌の“Great Is Thy Faithfulness”と、ボニー・レイットの1991年のヒット曲“ I Can’t Make You Love Me”のカヴァーをプレイしている。全ての曲は、この2年間のトリオのツアーで、ブラッシュアップを繰り返し、極限まで完成度を高めた。

JOEY ALEXANDER 『Continuance』 Mack Avenue(2023)

 ジョーイは、2021年末に、メリーランド州ボルチモアに、拠点を移した。ニューヨークより落ち着いた環境に惹かれたジョーイは、港湾都市ボルチモアの朝を描いたオリジナル“Blue”と、家族と引っ越すきっかけとなった言葉“Why Don’t We”(この後にMove To Baltimoreと続く)は冒頭の2曲を飾り、シオ・クローカーが、ジョーイの美しいメロディを慈しむ繊細なトランペット・プレイを、聴かせてくれている。エンディングの“Aliceanna”は、毎朝散歩するストリートの名前で、メロートロンのフルートのサウンドで、その空気感を表現した。作曲家としての成熟、プレイヤーとしては、鉄壁のアンサンブルを誇るパートナーたちを得て、ジョーイ・アレキサンダーの進化は、まだまだ続く。