藤田真央の師匠としても再注目! ベルリン・フィルとのラフマニノフ録音を語る
ロシア出身でジャズからクラシックまで多彩なレパートリーを誇るキリル・ゲルシュタインが、2023年のラフマニノフ生誕150年を記念してピアノ協奏曲第2番をライヴ収録した(22年6月、ヴァルトビューネ)。ヴァルトビューネはベルリン郊外の野外音楽堂で、2万人の聴衆がピクニック気分でリラックスして音楽を楽しむといわれる。
「キリル・ペトレンコ指揮ベルリン・フィルとの共演で、聴衆は野外で楽しんで演奏を聴いてくれるのですが、指揮者と私は綿密な打ち合わせを行い、ペトレンコはオーケストラとも事前に何時間もリハーサルを行っていました。こんな有名な作品なのに彼は私と2時間半もこまかなミーティングを行ったんですよ」
その演奏が成功したためCD化が実現し、今年2月にゲルシュタインはラフマニノフのソロ作品を新たに収録し、“夜の静けさに~”は編曲も行っている。
「CDは解説書も充実しています。ラフマニノフは昔から大好きな作曲家で、すべてにおいて最高の仕上がりになりました」
ゲルシュタインは子どものころからジャズを演奏し、14歳でニューヨークのバークリー音楽院に史上最年少入学を果たす。
「12歳のときにサンクトペテルブルクの音楽祭で演奏と通訳をしていたとき、ゲイリー・バートンに出会いました。彼に録音を送ってくれといわれ、それが縁でバークリー音楽院に入学することができ、チック・コリア、小曽根真をはじめとするジャズメンと出会うことになります。バートンは、私のメンターともいうべき大切な存在です」
これまで数多くの恩師から教えを受けたが、とりわけハンガリーのフェレンツェ・ラードシュからは大切な物を与えられた。
「ラードシュは伝説的なピアニストですが、最初は私の弾き方が嫌いで、初対面の印象は最悪でした。でも、私は3時間のレッスンで〈エゴをなくすこと、学ぶ姿勢を大事にすること〉を得たのです。2度目にブダペストを訪れたとき、心を柔軟にすることで先生も私に心を開いてくれ、いい関係が築けるようになりました」
ふたりはモーツァルト“4手のための作品集”の録音を行うまでになり、いまでも親密だ。さらに作曲家のトーマス・アデスとも密度濃い関係を築いている。
「トーマスは心の友です。私は彼の作品を世に送り出す、媒介の役割を担っているのです」
和食に目のないゲルシュタイン。日本食紀行をしたいそうだ。
LIVE INFORMATION
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団来日公演2023
4年ぶりのツアーが決定!
首席指揮者キリル・ペトレンコ就任後初となる来日公演が実現!
2023年11月14日(火)~2023年11月26日(日)
https://www.fujitv.co.jp/events/berlin-phil/