緑黄色社会のアリーナツアー〈リョクシャ化計画2023-2024〉のツアーファイナル公演が1月14日、大阪・大阪城ホールにて開催された。
横浜アリーナ(2023年12月15日、16日)、日本ガイシホール(2024年1月7日、8日)、大阪城ホール(1月13日、14日)の3会場を舞台に行われた、緑黄色社会にとって初のアリーナツアー〈リョクシャ化計画2023-2024〉は、6公演で約6万人の動員を記録。自身最大規模となった同ツアーのファイナルを飾ったこの日のステージは、類稀なるライブバンドとしての先鋭的な表現力と、今や国民的アーティストとして愛されるポップ感の両方を強く印象づけるものだった。
満場の拍手喝采を受けて、長屋晴子(ボーカル&ギター)、小林壱誓(ギター)、peppe(キーボード)、穴見真吾(ベース)とサポートドラマー比田井修が舞台に登場すると、“これからのこと、それからのこと”のアグレッシブな熱演でライブはスタート。続く“アウトサイダー”ではストリングスカルテットを迎えて豊潤なサウンドを響かせると、さらに“始まりの歌”ではブラストリオが演奏に参加、総勢12名のダイナミックなアンサンブルが会場一面のクラップを巻き起こしてみせる。その後も、楽曲によって弦楽やブラスの音色を加えながら、楽曲が持つ鮮やかな色合いとコントラストをよりいっそう明確に浮かび上がらせていた。
“マジックアワー”まで一気に畳み掛けた後、「最近すごくいろんなことがあったじゃない? いろんな不安を抱えたまま、今日ここに来た人もたくさんいると思います」と客席に語りかける長屋。「だけど、楽しいことは、大きな声を上げて〈楽しい〉って言って大丈夫だから。私たちと一緒に、ここで〈楽しい〉を作って、みんなで最高のツアーを完成させられたらいいなって思います」の言葉に、熱い拍手が広がる。
バラード曲“幸せ”から80s風ポップナンバー“ピンクブルー”、星間旅行のような“Starry Drama”……。色彩豊かな緑黄色社会の音楽世界を凝縮したようなこの日のセットリストは同時に、時代性やジャンル、スタイルに囚われずに表現世界を拡張し続ける4人の才気と挑戦精神を克明に伝えてくる。加えて、“ピンクブルー”ではミュージックビデオの演出にちなんで、舞台にセッティングされた電話で長屋が〈串カツ1万人前〉の出前を注文しようとする場面が盛り込まれていたり、オーディエンスを一瞬たりとも飽きさせないパフォーマンスや意匠の数々も、このツアーの大きな特徴だった。