現代最高のヴィルトゥオーゾ・ピアニストの一人、マルク=アンドレ・アムラン。今回英レーベルHyperionからデビュー30周年を記念した自作自演集が登場。ただその記念という華々しい楽曲かという想像を見事に裏切る、内省的で、聴く人を簡単には寄せ付けない孤高の音楽を展開。もちろんそこにはアムランらしい流麗なヴィルトゥオーゾが堪能出来るし、複雑な音楽的思考を垣間見ることができる。注目は多くの作曲家が取り上げてきた“パガニーニの主題による変奏曲”をアムランがどのように味付けするのか。あの旋律は一瞬聞こえてくるが、不協和音と超絶技巧に圧倒されながら、すごいものを聴いたな……と。