長渕剛が、7年ぶりのニューアルバム『BLOOD』を2024年5月22日(水)にリリースする。民衆の声を代弁した“路上の片隅で”に始まり、幼少期の心象風景を描いた“ひまわりの涙”、天国の仲間に捧げる“ジャッキーレディ”、ユーモラスなMVも楽しいリード曲“黒いマントと真っ赤なリンゴ ”、孫へと歌いかける感動的な“ZYZY”、そして表題曲“BLOOD”まで。激しく握った拳をゆっくりと開き誰かと手を繋ぎたくなるような、人間の心の奥底にある優しさ、温かさに気付かせてくれる10曲の作品となっている。楽曲に込めた想い、バンドにまつわる想い、さらにツアーの先に見据える未来について語ってもらった。

長渕剛 『BLOOD』 VIRGO & LEO(2024)

 

大事な仲間への恩返し

――今作は、最初に『BLOOD』というテーマの元に曲を作っていったのでしょうか。それとも曲が集まってきてこういうタイトルのアルバムになったのでしょうか。

「後者ですね。アルバムのために書いたもの、2、3年ずっと書き溜めていたものを並べて、最終的に何か一つ足りないなと思ったときに、“BLOOD”っていう歌が出てきました。

〈BLOOD〉というと、血族、家族の絆とかを連想すると思うんですけども、今回僕の中には〈仲間に対する想い〉というのが非常に色濃くあります。その仲間たちにずいぶんと自分が支えられて生きてきたなっていうのはすごく感じているんですよ。長年付き合ってるやつらもいるんだけど、年々〈あいつがいてくれてよかったな〉とか、そういう大事な仲間たちに恩返ししたいなっていう気持ちがすごくあって、やつらに書きたい歌というテーマで探したときに“BLOOD”っていう曲ができたんです。それを聴かせて、泣かせてやりたいと思って(笑)。〈曲ができたから聴いてくれよ〉って僕の家に仲間たちを呼んでお披露目したら、案の定みんな号泣しましたね」

――曲ができたら、そうやって直接聴かせることがあるんですか?

「そういうことが多いです。オフィスでも何でも、できたらすぐに誰かに聴いてほしいっていう思いが強くあるので、生で聴かせるんです。そこから歌詞の個人的なものを排除していきながら、普遍的な歌詞に直していく作業をやりました」

――“FaceTime”は、そうした仲間との会話がきっかけになった曲でしょうか。

「FaceTimeやLINEみたいなツールができてから、〈今君に会いたい〉っていう想いをすぐに伝えることができることの裏側に、〈でも会えない。じゃあ最初から会えない方がいいや〉とか、ちょっとネガティブな想いがある。僕の場合はどうしてもそこにフォーカスが行くんです。つまり、〈君に会いたくてしょうがないんだ〉っていう想いが、さらに電話を切った後に募ってくるっていう。そういう想いはやっぱり新旧問わず昔からありますよね。

10円玉を持って公衆電話に走った時代は、そのときの走る距離のことが〈想い〉であって、時間と共に10円玉がチャリンチャリンと落ちていく、そこにじつは作家性が潜んでるわけです。時代が豊かになっても、人間としての一番大切な人を想う気持ちっていうのは、こういう便利なツールがあればあるほど、赤裸々に募っていくっていう感覚が僕にあるんですよ。そういったものを総称して〈君と僕〉っていうテーマで書いた曲が“FaceTime”です」