Photo:Kosuke Atsumi

葵トリオがベートーヴェン没後200年に向けて〈ピアノ三重奏曲全集〉録音を開始

 ピアノ=秋元康介(A)、ヴァイオリン=小川響子(O)、チェロ=伊東裕(I)の頭文字で命名した葵トリオ。ARDミュンヘン国際音楽コンクールで日本人の室内楽チームとして東京クヮルテット以来48年ぶりの1位を獲得したのは2018年、「もう6年も前になりました」(小川)。入念なリハーサルで音楽性に磨きをかけ、常設トリオにしかない演奏の密度を一貫して高める中、2027年のベートーヴェン没後200年に向けた〈ピアノ三重奏曲全集〉(作品番号付の第1~7番と作品121aの“カカドゥ変奏曲”、変ホ長調作品44の変奏曲)の録音をナミ・レコード〈ライヴノーツ〉レーベルで開始、第1作の『第2番、第4番“街の歌”、第6番』をリリースした。

葵トリオ 『ベートーヴェン:ピアノ・トリオ全集(I)』 ライヴノーツ(2024)

 「サントリーホールで2027年に向け年1曲ずつ演奏していく計画が決まった時、レコーディングも考えました。コロナ禍で実演が流れたりして出遅れたため、収録会場を探すのに苦労しました。同ホールのチェンバー・ミュージック・アカデミー(CMA)時代からお世話になっていた方から、富山県魚津市の新川文化ホールが開いていると知らされ、2023年8月16~18日にセッション録音を行うことができたのです」(小川)

 魚津のホールはCMA時代、秋の合宿に集中した思い出の場所。

 「たくさんのレッスンを受けました。街の皆さんとの交流も含め様々な記憶がフラッシュバックする中、葵トリオとして8年ぶり戻ってきたこと自体、面白い展開でした」(秋元)。

 全集はディスク3枚で完結する予定。

「次は第5番“幽霊”と第1番、最後が第7番“大公”と第3番、変ホ長調の変奏曲になります。トリオ・ヴァンデラーのピアニスト、ヴァンサン・コックさんに相談した際、〈どの1枚にも標題の入った作品を入れた方がいい〉と助言されたのに従いました」(伊東)

 東京都交響楽団首席の伊東に続き、小川も今年4月から名古屋フィルハーモニー交響楽団コンサートマスターを務めるなど、オーケストラに割く時間が増えた。小川が「楽団にもトリオのスケジュール優先をお願いしてあり、お2人に迷惑をかけないようにしています」と言えば、伊東も「入団2年近くが経ち、色々工夫できるようになりました。オーケストラで同じ作曲家の他ジャンル作品を手がけて得たものを、ピアノ三重奏に生かせるメリットは大きいです」。あくまでトリオがメイン、と考える3人だった。

 


LIVE INFORMATION
葵トリオコンサート情報

2024年10月27日(日)京都コンサートホール
開演:15:00

■出演
葵トリオ
尾高忠明(指揮)
大阪フィルハーモニー交響楽団

■曲目
ベートーヴェン/三重協奏曲 ハ長調 作品56
ベートーヴェン/交響曲 第6番 へ長調 作品68「田園」

https://www.osaka-phil.com/events/event/1430/