2018年に難関として知られるミュンヘン国際音楽コンクールに優勝し、大きな話題を呼んだ葵トリオの第2弾。古典派とロマン派、長調と短調という2曲の性格的対照をさり気なく、かつ強い説得力をもって描き出している。瑞々しい音色美、軽やかなリズム、天衣無縫のアンサンブルから、生命力に溢れた音楽が生み出されているが、その表現は決して則を超えることなく極めて気品高い。ベートーヴェンでの活力に溢れ、優美さを兼ね備えた演奏は作曲当時24歳の彼に実にふさわしく、メンデルスゾーンでの豊かな情感や憂愁の風情、しかし粘らないさらりとした進行も作品の様式をずばりと言い当てている。