この夏の主役は彼女! 世界的な脚光を浴びて人気爆発中の南アフリカの歌姫が日本初上陸を控えるなか、話題の初作『Tyla』がついに日本盤で登場! このタイミングで改めてその魅力を掘り下げてみよう!

スターの資質と輝き

 南アフリカから颯爽と登場。歌とルックス、ヴァイタリティを備えたビッグ・センセーションとして世界を席巻しているタイラ。2024年2月のグラミー賞では、〈最優秀アフリカン・ミュージック・パフォーマンス〉部門を早くも受賞し、アフリカ出身のアーティストとして22歳という最年少でグラミー受賞を成し遂げた。まだデビュー・アルバムも発表していないアーティストなのに、いきなりアメリカの権威ある音楽賞を受賞とは確かにビックリなのだが、個人的には主要部門の〈最優秀新人賞〉でこそノミネートされるべきだったのでは?と思うほど、その一曲“Water”は、本国の南アフリカはもちろん、世界中の人々を虜にした。

 一度聴いたら忘れられない極上の至福感を届けてくれるシングル“Water”。この曲に彼女の魅力のすべてが集約されていると言っても過言でないはずだ。一聴した瞬間に、彼女のしなやかで官能的な世界にグイッと引き込まれる。2023年7月のリリース以来、世界のチャートを制覇し、息の長いロングヒットとなった“Water”。マシュメロによるリミックスやトラヴィス・スコットが参加したリミックスの効果もあったし、彼女がステージでこの曲で歌いながら背中から水を垂らして踊る姿がSNSでバイラル・ヒットしたことも人気に拍車をかけた。そう、彼女のダンスやルックスは、彼女の音楽と実に共鳴性が高く、相乗効果が見逃せない。彼女が歌い踊ると音楽そのものが彼女となり、彼女自身が音楽と一体化して……などと、まどろっこしい説明をするよりも、まずは観聴きしてもらったほうが早いだろう。とにかくチャーミングでセクシーで、一瞬たりとも目を離せない、稀に見るスターの資質と輝きを備えている。

 凛とした出立ちや表情は、デスティニーズ・チャイルド時代のビヨンセか、はたまた安室奈美恵かという超美形。くびれた腰を使ったしなやかなダンスは、かつての2000年あたりのシャキーラのベリーダンスでのそれを思い出させる。Y2Kリヴァイヴァルなヘソ出しルックや、一周した現代的なギャルっぽさも魅力じゃないかと思う。が、決して下品にはならないのがタイラの特徴だ。いくら激しいダンスを踊っても、彼女は常にディズニー・プリンセスのような高貴さを漂わせている。