キン肉マン&ミートくんを中心にしたユーモラスなラジオ風トーク
本作は何より、単なるコンピレーションアルバムではないことが肝である。キン肉マン(CV:神谷明)&ミートくん(CV:松島みのり)が各曲をランキング形式で紹介していく〈キン肉放送局〉の特別番組という体裁になっている点こそが、当時のキッズの記憶に強く焼きついている理由だろう。
「全宇宙のいたいけな子どもたちが選びに選び抜いた超人の歌ベスト20ザ・ヒット・パレード!」という導入とともに繰り広げられるのは、ボケたり自惚れたりカッコつけたりと忙しいスグルと、王子のツッコミ役であるミートくんの軽妙な掛け合いによるラジオDJ風のトーク。さらにキン骨マン(CV:二又一成)、二階堂マリしゃん(CV:中島千里)、アデランスの中野さん(CV:はせさんじ)がそこに乱入してきて、らしさ満載のおしゃべりに発展していく。
その様を聴いていると当時のアニメを見ている気分に浸れるし、本作をアニメ本編の番外編的なドラマCDとして楽しむこともできる。キャラクターたちのいきいきとしたトーク、個々がキャラ立ちした様を聴いているだけで、思わず童心に戻ってしまう……というリスナーも多いのでは。
ソウルからロックまで、〈キン肉マン音楽〉の多彩さ
また、アルバムにはこれだけ多くの曲が収録されているので、〈キン肉マン音楽〉の多彩さにも必然的に気づかされる。たとえば、串田アキラのハスキーな声による、汗が飛び散る様子がありありと見えてくるような熱唱はキン肉マンソングのベースになっているが、大定番“キン肉マン Go Fight!”(作詞:森雪之丞/作曲:芹澤廣明/編曲:川上了)を改めて聴いてみると、コミカルでめまぐるしく練られた展開や、パワフルなホーンズとコーラスに彩られた、見事なソウル/ディスコ歌謡だということがよくわかる。アニメソング界の大魔神こと宮内タカユキが歌う“悪魔の猛牛(バッファローマンのテーマ)”(作詞:森雪之丞/作曲:芹澤廣明/編曲:田中公平)などもソウル/ディスコ歌謡で、この路線の曲は多い。
また冒頭の“阿修羅地獄(アシュラマンのテーマ)”(作詞:森雪之丞/作曲:芹澤廣明/編曲:松井忠重)などは、ニューウェーブの残り香が漂う、ビートが効いたロック歌謡。ソウル/ファンク系と、これらニューウェーブの残滓的なビートロック系がキン肉マンソングの2大路線なのは、80年代という時代性の反映だろう。
それに対して、B面(CDの2トラック目)に移って最初に登場する“虹色の騎士(ロビンマスクのテーマ)”(作詞:森雪之丞/作曲:芹澤廣明/編曲:奥慶一)は、ミュージカル俳優としても知られた荒川務が爽やかなアイドル声で歌い上げているポップス。キン肉マンソングとしては異例かもしれないが、このあたりにも時代感が強く反映されている。このように作曲家と編曲家を中心にした、プレJ-POP的な当時の歌謡曲の現場における職人仕事の妙を堪能できるのも楽しい。
ギャグとシリアスを行き来する“キン骨エレジー”に詰まった〈らしさ〉
おもしろいのは、“キン骨エレジー”(作詞:寺田憲史/作曲・編曲:有澤孝紀)だ。演歌のような旋律を奏でるアコースティックギターの独奏から始まり、洒落たボサノバへと展開し、なぜか軍歌のような2拍子へと変貌していくこの不思議なコミックソングは、まさにキン肉マンらしさを表していると言いたい。ギャグとシリアスの間を行ったり来たりする音楽性と突飛なごった煮感は、「キン肉マン」という作品自体の反映だろう。“キン骨エレジー”という曲単体についても、さらにアルバム全体についても言えることだが、ギャグとシリアスの間の行き来というのはキン肉マンらしさそのものである。
加えて言うならば、大半の曲を担当し、キン肉マンの世界を見事に歌詞へ落とし込んでいる作詞家・森雪之丞の仕事にも注目したいところ。もちろん“キン肉マン倶楽部”“キンケシ子守唄”といった、聴ける機会自体が限られたレア曲が収録されていることに〈あっ!〉と反応するファンもいるはずだ。
幼少期にカセットのアナログな音質へ慣れ親しんだ方にとって、今回のCDのクリアで華々しいサウンドは、当時の思い出をセピア色ではないカラフルな色彩でよみがえらせることだろう。新しい発見を見いだせるかもしれないし、かつての漫画やアニメの追想をサポートしてくれるだけでなく、〈現行のアニメも見たい!〉という興味を喚起するかもしれない。
というわけで、カセットプレーヤーのオートリバース機能に頼らずともA面もB面もリピートして堪能できる、『キン肉マンのザ・ヒット・パレード 超人の歌ベスト20』のCDをぜひ手に入れてほしい。
RELEASE INFORMATION

リリース日:2024年7月31日(水)
品番:COCX-42316
価格:3,300円(税込)
TRACKLIST
1. キン肉マンのザ・ヒットパレード ~超人の歌ベスト20~
声:神谷明(キン肉マン)/松島みのり(ミートくん)/二又一成(キン骨マン)/中島千里(マリ)/はせさんじ(中野さん)
◯キン肉マン旋風 歌:串田アキラ
◯阿修羅地獄(アシュラマンのテーマ) 歌:GAKURO
◯キン肉マン音頭 歌:神谷明(キン肉マン)/松島みのり(ミートくん)/コロムビア・オーケストラ/こおろぎ’73/Shines
◯無冠の帝王(ネプチューンマンのテーマ) 歌:山中のりまさ
◯アジアの狼(モンゴルマンのテーマ) 歌:さいとうようじ
◯キン肉マン Go Fight! 歌:串田アキラ/ コロムビア・オーケストラ
◯悪魔の猛牛(バッファローマンのテーマ) 歌:宮内タカユキ
◯覆面の狩人(ビッグ・ザ・武道のテーマ) 歌:宮内タカユキ
◯炎のキン肉マン 歌:串田アキラ/コロムビア・オーケストラ/こおろぎ’73/Shines
◯ベルリンの赤い雨(ブロッケンJr.のテーマ) 歌:宮内タカユキ/こおろぎ’73
◯キング オブ デビル(悪魔将軍のテーマ) 歌:水木一郎
◯キンケシ子守唄 歌:いけたけし/神谷明(キン肉マン)
2. キン肉マンのザ・ヒットパレード ~超人の歌ベスト20~
声:神谷明(キン肉マン)/松島みのり(ミートくん)/二又一成(キン骨マン)/中島千里(マリ)/はせさんじ(中野さん)
◯虹色の騎士(ロビンマスクのテーマ) 歌:荒川務/こおろぎ’73
◯キン骨エレジー 歌:二又一成
◯カンフー ファイター(ラーメンマンのテーマ) 歌:こおろぎ’73
◯キン肉マン倶楽部 歌:神谷明(キン肉マン)
◯悲しみのベアー・クロー(ウォーズマンのテーマ) 歌:Woo/こおろぎ’73
◯燃えろ!放送席 歌:宮内タカユキ
◯テキサスブロンコ(テリーマンのテーマ) 歌:串田アキラ
◯See you again, hero! 歌:神谷明
◯奇蹟の逆転ファイター 歌:神谷明/コロムビア・オーケストラ
◯つかまえてマイヒーロー 歌:かおりくみこ
◯キン肉マンボ 歌:神谷明(キン肉マン)/コロムビア・オーケストラ/こおろぎ’73/Shines
EXHIBITION INFORMATION
原作45周年記念「キン肉マン」愛と絆の原画展

会期:2024年8月10日(土)~2024年8月25日(日)
※2024年8月19日(月)~23日(金)13:00~19:00(最終入場18:30)
※2024年8月10日(土)~18日(日)、24日(土)・25日(日)10:00~19:00(最終入場18:30)
会場:池袋・サンシャインシティ 展示ホールC
オフィシャルサイト:https://kinnikuman45th-genga.com/
ANIME INFORMATION
「キン肉マン」完璧超人始祖編

CBC/TBS系全国28局ネット「アガルアニメ」枠:毎週日曜23:30〜放送
※1話は特別編成のため2024年7月15日23:45〜放送
BS11:2024年7月12日より毎週金曜18:30〜放送
アニマックス:2024年7月27日より毎週土曜21:00〜放送 *リピート放送7月28日より毎週日曜21:00〜
■配信情報
Netflix見放題独占配信
7月8日より毎週月曜更新
■公式サイト & X
TVアニメ「キン肉マン」完璧超人始祖編 公式サイト:https://kin29man-anime.com/
TVアニメ「キン肉マン」完璧超人始祖編 公式X:https://twitter.com/kin29man_anime
■スタッフ
原作:ゆでたまご(集英社「週刊プレイボーイ」「週プレNEWS」連載)
監督:さとう陽
副監督:曽我準
シリーズ構成:深見真
アニメーションキャラクターデザイン:丸藤広貴
アニメーションスーパーバイザー:横田守
アクションスーパーバイザー:大張正己
プロップデザイン:岩永悦宣
美術デザイン:伊井蔵
美術監督:平栁悟
色彩設計:茂木早誉
撮影監督:齊藤慶一
編集:村上義典
音響監督:今泉雄一
音楽:高梨康治
アニメーションプロデューサー:黒木類
アニメーション制作:Production I.G
■キャスト
キン肉マン:宮野真守
ミートくん:上坂すみれ
テリーマン:小野大輔
ロビンマスク:小西克幸
ウォーズマン:梶裕貴
ラーメンマン:関智一
ブロッケンJr.:笠間淳
ジェロニモ:小野賢章
バッファローマン:安元洋貴
ブラックホール:宮田俊哉
ステカセキング:柿原徹也
スプリングマン:吉野裕行
ミスターカーメン:谷山紀章
アトランティス:間宮康弘
ザ・魔雲天:かぬか光明
ストロング・ザ・武道:大塚明夫
マックス・ラジアル:小林親弘
ターボメン:野島健児
ダルメシマン:檜山修之
クラッシュマン:富岡佑介
マーリンマン:尾高慶安
ピークア・ブー:石毛翔弥
悪魔将軍:森川智之
アシュラマン:神谷浩史
サンシャイン:稲田徹
ネプチューンマン:杉田智和
ビッグ・ザ・武道/ネプチューン・キング:川島明(麒麟)
キン肉マン スーパー・フェニックス:中村悠一
ウルフマン:ケンドーコバヤシ
キン肉真弓/プリンス・カメハメ:神谷明
委員長:古川登志夫
アナウンサー:太田真一郎
「キン肉マン」とは
集英社「週刊少年ジャンプ」で1979年から1987年まで「キン肉マン」387話を連載。「キン肉マンII世」は1998年から「週刊プレイボーイ」で連載。「キン肉マン」「キン肉マンII世」はシリーズ累計7,700万部突破(歴代12位、記録更新中)。大ブームになったキンケシは1.8億体以上を販売。テレビアニメは1983年4月から放送開始、平均視聴率は20%。7本の映画も制作されている。2011年、24年ぶりに「キン肉マン」の連載を再開。2012年、「このマンガがすごい」の7位に選出される。2013年にシリーズ通巻100巻を達成。2020年より「週プレNEWS」のWeb連載に加え「週刊プレイボーイ」でも同時掲載中。
イントロダクション
さあ、伝説の続きを始めよう――。
1980年代、「週刊少年ジャンプ」(集英社)の主力看板作品のひとつとして同誌の発行部数大躍進を牽引。さらに1983年から放送されたTVアニメは視聴率20%を超え、劇場版も7本製作、累計1億8千万体以上もの出荷数を記録したカプセルトイ〈キンケシ〉の大ブームなど、もはや社会現象とまで呼ばれた伝説のタイトル「キン肉マン」!
そんな作品が2011年11月、当時と変わらぬ〈週刊連載漫画〉として、しかも「週刊少年ジャンプ」時代の続きから物語を再開させるという形でまさかの復活を遂げた。
その新たなストーリーこそが、今回アニメ化されることになった「キン肉マン」完璧超人始祖編!
正義超人、悪魔超人、完璧超人、往年のストーリーを彩ってきた三属性の超人軍が、各々の大義を掲げて繰り広げる新たな三つ巴の闘い! その中で明かされていく〈超人〉という種のルーツ、重厚さを深めた各組織内の人間模様、アップデートされた超人たちの技の攻防、そして変わらぬ友情のドラマ……。どんな者にも心に闘う理由がある!
アニメーション制作は「攻殻機動隊」シリーズをはじめとする名作を数多輩出し、「黒子のバスケ」「ハイキュー!!」などの「ジャンプ」作品も手掛けてきたProduction I.Gが担当。
そして前任者のレジェンド声優・神谷明からバトンタッチを受けて、主人公・キン肉マン役を新たに演じるのは、今や押しも押されもせぬ声優界のスーパースター・宮野真守。
さらに、監督・さとう陽、シリーズ構成・深見真、キャラクターデザイン・丸藤広貴、音楽・高梨康治とメインスタッフにも近年のアニメシーンをリードする実力派が勢揃い。
アニメとしては実に32年という長い空白の時を超えて……! 今、キン肉マンの新たな闘いが幕を開ける!!
ストーリー
宇宙の果てのキン肉星から地球にやって来た王子・キン肉マンは、ダメ超人と人間たちにバカにされ続けてきたが、ひょんなことから出場権を得た世界一の超人を決める大会、超人ワールドカップで奇蹟の優勝、しかも翌年は連覇まで達成!
以降は宇宙の平和を守る正義超人の中心人物となり、この世の支配を目論む悪魔超人、さらには地上からの弱小超人一掃を狙う完璧超人ら、猛威をふるう敵勢力をテリーマンやロビンマスクといった仲間たちとの友情パワーでなんとか退けてきた。
それらの功績を認められ、最後の試練〈キン肉星王位争奪サバイバル・マッチ〉をも勝ち抜いたキン肉マンは晴れて父から王位を譲り受け、誰もが認めるキン肉星第58代大王に即位! 地球から故郷の星へ帰還。結婚も果たし、8年にわたる闘いの日々に別れを告げた。
それから約1年半後。全宇宙は平和に包まれていたはずであったのだが……!?
「キン肉マン」原作サイト:https://wpb.shueisha.co.jp/kinnikuman/
ゆでたまご嶋田隆司先生公式X:https://twitter.com/yude_shimada
【公式】キン肉マン漫画スタッフ(集英社)X:https://twitter.com/kinnikuman_pr