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STARBENDERS

売れてほしいが儲からなくていい

――レーベルを始めたあと、まずどう動いたんですか?

「やっぱり好きなバンドをその人たちが死ぬ前に呼んどかないかん、と最初にジーザス・ジョーンズとジグ・ジグ・スパトニックに声を掛けたんです。どっちもその頃、レーベル契約はないし、ジーザス・ジョーンズは活動さえ止まってたんですけど、もう一回日本でやろうよと連絡して」

――じゃあ両者が昨年行った来日公演はtetsuさんの10年越しの夢を叶えたものだったんですね。

「そうなんです。それと同時に若いバンドも探していて、これは名前を出せないんですけど、女性2人と男性2人で〈これはおもしろいぞ〉というUKの4人組を見つけて、メンバーからマネジメントまで繋げてもらうところまではいったんですよ。でも、こっちが始めたばっかで何の実績もなかったから、結局連絡が途絶えてしまって。それで悔しくて同じ編成のバンドを探したのが、B.I.J.として最初にリリースしたアトランタのスターベンダーズ」

――スターベンダーズは2018年10月に日本独自のパッケージ『監視社会/ジュリアン EP』をリリースし、同年には早くも来日公演を行っていましたね。

「素性不明の日本のレーベルから送られたDMに乗っかって日本盤のCDとレコードを出すことになり、その流れで数か月後には日本に来たわけだから、よく来たなって思うよね(笑)。向こうは向こうで、よく呼んだねという感じだろうけど。彼らはB.I.J.から出したものがのちにアメリカ盤化してリリースされたんです。憧れのチープ・トリック『Cheap Trick At Budokan』的な展開が早くも実現したわけ」

ISOLATED YOUTH

――以降は、スウェーデンのアイソレイテッド・ユースや南アフリカのソープガールズ、最近だとイギリスのプッシー・リカーやイタリアのノクテなどB.I.J.は本当に世界各国のバンドをリリースしています。しかも、そのほとんどで来日公演を組んでいる。ブレイク前のバンドを日本に呼んでライヴを成功させるのは大変じゃないですか?

「レコードやCDを出しても特に売れる時代じゃないというのもありつつ、やっぱりリアルにライヴを観に行くことでしか味わえない体験があると思うんです。僕は配信とかも大嫌いやし、〈この場にこの時間に来ないと観れない、しかもお金がかかる〉っていう、世の中の流れとは真逆のことにおもしろさを感じさせたいんです。でも、収支的にはいつも本当に大赤字ですよ(笑)」

――それは笑えない(笑)。それでも続ける情熱がtetsuさんにはあるんでしょうね。

「一回すべてを失っているということもあって、特にほしいものがないんです。レコード盤はコレクションしてますけど、外車やマンション、ロレックスみたいなものは別に要らない。ギターも1本しか持ってませんからね(笑)。僕は契約したバンドに〈売れてほしい〉とは伝えるんですよ。でも、バンドが売れてB.I.J.で儲かりたいというのはなくて。人気が出て、もっと大きなレーベルと契約してくれたらいいんです。権利やお金よこせとか一切言う気もない。ジョニーがアルバムで僕にやってくれたみたいに、何かの作品のどこかに僕の名前を小さく入れてくれたら。そしたら、〈これ、俺が面倒みてた〉って言えるやん。もうそれだけなんですよ。もちろんtokyo honey trapで世界中の変態リスナーを征服したいとかは思ってますけど(笑)」

―今日はありがとうございました! 最後にB.I.J.の今後の予定を教えてください。

「今年の秋にアイソレイテッド・ユースのアルバムが出ると思います。それに絡める形でUKのわりと大きめのバンドといま来日公演とリリースの交渉をしている段階。まだまだ世界にはおもしろいバンドがいっぱいいるので、未来のB.I.J.を精力的に発掘していきたいですね」

左から、ジーザス・ジョーンズの12インチ・シングル『Still Smiling At Japan』、ジグ・ジグ・スパトニック・エレクトロニックの12インチ・シングル『Tokyo Duel One』(共にB.I.J.)、tokyo honey trapのシングル“da da da (don’t tune a blind eye)”、ノクテのニューEP『A Purpose Of Time』、プッシーリカーのニューEP『Not Rocket Science』(すべてB.I.J.)