インタビュー

CATFISH AND THE BOTTLEMEN 『The Balcony』

UKロック・シーンでブレイク必至と目されるウェールズ出身の4人組バンドが、ジム・アビスを迎えて完成させたファースト・フル・アルバム

CATFISH AND THE BOTTLEMEN 『The Balcony』

 ウィッチーズを筆頭に、時代の顔となり得るロック・アクトが次々に現れ、改めて〈ロックは熱いぜ!〉と思わせてくれる近頃のUKシーン。そんななか、また1組ブレイク必至と目される新人が登場した。それがウェールズ出身の4人組、キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン。この1年間にさまざまなメディアを賑わせてきたので、〈名前だけは知っている!〉という方も多いだろうか。あるいは、BBCの人気DJであるゼイン・ロウが〈世界でもっともホットなレコード〉に選んだ先行シングル群──“Rango”“Kathleen”“Fallout”“Cocoon”──を実際に聴き、アルバムを心待ちにしていた方も少なくないかもしれない。

CATFISH AND THE BOTTLEMEN The Balcony Communion/Island/HOSTESS(2014)

 〈アークティック・モンキーズみたいなバンドとは一線を画した音を鳴らそう〉という思いを胸に活動を始めたこのグループが、俄然注目されるようになったのは、マイケル・キワヌカディープ・ヴァリーを輩出したコミュニオンと昨年契約を結び、立て続けにシングルをリリースしてからだ。そして、今年に入り〈レディング&リーズ〉〈ラティテュード〉など数々の夏フェスへ出演。トントン拍子でスターダムを駆け上がるなか、このたびアークティック仕事で有名なジム・アビスと共に、ファースト・フル・アルバム『The Balcony』を完成させた。驚くことなかれ、ボートラを除く全11曲中6曲がシングル・ナンバーという超強力ラインナップ。90年代のグランジ的な轟音と、2000年代のガレージ・リヴァイヴァル勢が纏った青い煌めきをイイトコ取りし、ドラマティックに盛り上げるギター・サウンドもさることながら、やはりヴァン・マッキャンのパワフルなヴォーカルがキャットフィッシュのキモだろう。その熱唱を聴いてU2ボノを連想したのだが、何でもヴァンもアイリッシュ系だそうで……。

 「最初にギターで弾いたのは、アイルランドのフォーク・ソングだったよ。祖父がフィドルを弾いていたから、それに合わせて演奏してみたんだ。〈アイリッシュの心〉みたいなものには影響を受けているね。僕の好きなシンガーはアイリッシュ系が多いし、彼らの歌声は本当に素晴らしいんだよ」(ヴァン・マッキャン:以下同)。

 本作中で直球のフォーク曲は“Hourglass”のみだが、モダンなサウンドのなかにトラディショナルなフィーリングが見え隠れするのは、〈アイリッシュの心〉の賜物か。それはさておき、ヴァンが図書館で盗んだ詩集に由来する『The Balcony』というタイトルについて、こんなことを語ってくれた。

 「大抵の人は〈バルコニー〉という言葉に対し、良いイメージを浮かべるだろ? そういうところが好きなんだ。バルコニーに立って街を見渡しながら世界のてっぺんにいるような感じを味わったとか、ガールフレンドとの旅行先での思い出とかさ。あとは、実際にアルバムを制作していた時、よくバルコニーで曲を書いたんだよ。真夜中に、家の裏にある真っ暗なバルコニーで煙草を吸っていると、歌詞が浮かんでくるんだ。そのバルコニーは広々としていて凄く大きく感じるんだけど、このアルバムもそういうふうにスケールの大きなサウンドにしたかった」。

 ヴァンの願い通り『The Balcony』は、バルコニーどころかアリーナ級のスケールを湛え、それが支持されて全英6位をマーク。上々の滑り出しを見せると同時に、彼らに明るい未来が待っていることを印象付けた。そんな本作の何が良いって、いまこの瞬間の感情を、いてもたってもいられないほどの焦燥感と共に叩き付けたような激しさが感じられる点。僕はこのアルバムを聴くたび思わず走り出したい衝動に駆られてしまうのだが、キャットフィッシュを大型新人だと感じる理由は、数々のバズよりも、むしろそういうエモーショナルな部分にある。

 

 

キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン

ヴァン・マッキャン(ヴォーカル/ギター)、ジョニー・ボンド(ギター)、ベンジー・ブレイクウェイ(ベース)、ボブ・ホール(ドラムス)から成る4人組。2007年に北ウェールズはランディドゥノーで結成。地元を中心に精力的なライヴ活動を行い、2012年に初の12インチ『Tortuga/Sidewinder』をリリースする。2013年にコミュニオンと契約し、“Homesick”“Rango”“Pacifier”と3枚のシングルを発表。いずれもNMEから高い評価を受け、今年の夏には〈レディング&リーズ〉を含む大型フェスに多数出演する。1975のツアーに帯同して話題を集めるなか、このたびファースト・アルバム『The Balcony』(Communion/Island/HOSTESS)をリリースしたばかり。