(左から)よしだたかあき、Misaki
Photo by 三浦麻旅子

2020年に世界を襲ったパンデミック。SpecialThanksはその渦中で賛否両論を呼びながらライブを続け、制作も止めることなく、YouTubeチャンネルでは年間100本近いカバー動画をアップするなど、未曽有の事態を強くたくましく乗り越えた。しかし2023年に入ってギタリストとベーシストがまさかの脱退。バンドは解散の危機に直面するが、Misakiがギターを持ち、ドラムのよしだたかあきとサポートメンバーの3ピース体制で再スタートを切る。

そして約1年10カ月の時を経てニューアルバム『PUNK RECORDS』をリリース。1990年代~2000年代のポップパンクやメロディックハードコア直系のサウンドを軸に、オリジナルなスパイスの効いたアレンジ、さらに磨きのかかったメロディと歌を展開し、直球ど真ん中を貫くチャレンジングなタイトルに負けない作品に。

2人は怒涛の日々をどのような気持ちで過ごし、パンクというカルチャーに、SpecialThanksという存在に何を見出し、この現在地に辿り着いたのだろうか。

SpecialThanks 『PUNK RECORDS』 SpecialThanks(2024)

 

構わず前に進んだコロナ禍での怒涛の活動

――SpecialThanksといえば、今でも思い出すのがパンデミック下での活動です。まず、イベント開催に伴う規制が厳しく否定的な見方も多かった時期から積極的にライブを行っていました。

Misaki「たぶんどのバンドよりも早く全国を回ったんです。大きな問題が起きなかったから言えることかもしれないですけど、やってよかったと思います」

よしだたかあき「レーベルや事務所に所属していなかったので、巻き込む関係者が少なかったからできたことですね。やりたいけど動けなかった他のバンドも見ていたので」

Misaki「誰かが動かないとって、思っていた部分もありました」

よしだ「マックスで20人くらいしかお客さんが入れられない、そんな状況でもお客さんは楽しんでくれたし、泣きながら喜んでくれたライブハウスの方もいて嬉しかったです」

――そしてライブや制作/リリース活動を続けながらYouTubeチャンネルには年間100本近いカバー曲の動画をアップしていました。

Misaki「〈バズれ!〉と思って頑張ってたね」

よしだ「YouTubeを頑張るにあたって、YouTubeコンサルみたいな動画を観たら、〈50~100本アップしたらどれかバズる〉みたいことを言ってたから、1年で99本録ったけど大バズはゼロでした。100本目でバズるはずだったのかな(笑)? とにかく少しでも認知を広げられるように、できることをやって前に進みたかったんです」

Misaki「ライブもやって撮影もしてリリースも続けて、あの頃はほんとうに一生懸命だったね」

――今も一生懸命だと思うのですが、質が違うような気がします。エクストリームな感じというか……。

Misaki「かもしれません。ずっとアドレナリンが出ていた、みたいな」

よしだ「意地になっていたところもあったよね。週3でカバー動画の投稿なんて大変だから、〈もうやめようぜ〉って話も出たけど、しんどいからという理由でやめたら楽をすることが基準になって、もう頑張れない気がしたんですよね」