曲全体に散りばめられたPファンクへのオマージュ
Pファンクとはジョージ・クリントン率いるパーラメントとファンカデリック、およびその一派を含めた音楽集団の総称にして音楽形態のことだ。SF的世界観でファンクを追求したパーラメント、アーシーでサイケデリックなロック寄りのファンクを展開したファンカデリックという違いはあるものの、構成員は流動的でありながらほぼ同じ。紆余曲折を経て、現在はパーラメントとファンカデリックを統合した形で活動しているが、ジョージがオーガナイザーであることに変わりはない。
パーラメント・ファンカデリックのライブでは、ステージの四方からさまざまなキャラクターが登場し、歌やラップが無造作に飛び交うカオス状態となる。ファッションも含めて自由奔放。しかし、メンバーが好き勝手やっているように見えて統制が取れているのは、ジョージ・クリントンが司令塔として鎮座しているからだ。
そんなPファンクの自由さやジョージのカリスマ性に憧れた堂本は、それを原動力として、.ENDRECHERI.を含む一連のプロジェクトでそれまでのアイドル的なイメージからの脱却を目指したとも言われている。ギターを弾く堂本は、エディ・ヘイゼル、ゲイリー・シャイダー、ブラックバード・マックナイト、マイケル・ハンプトンといったPファンク軍団の歴代ギタリストたちにもシンパシーを感じていることだろう。彼らはPファンクの〈雑味〉を際立たせた人たちでもある。今回の新曲は、そんなPファンクに対する憧憬と、現在の解放的な気分を反映させたものだと受け止めている。
“雑味”は堂本が作詩・作曲、編曲を堂本本人と宗本康兵が手掛けている。賑々しいイントロからしてPファンクそのものだ。〈Welcome To The Mothership〉〈Konnichiwa〉〈私たちはファンクが欲しい〉などといった英語や日本語が飛び交い、〈雑味/That’s Me〉というコーラスが集団でたたみかけてくる。ホーンが高らかに鳴り響くと、ジョージが〈Yo, .ENDRECHERI.!〉とシャウトアウト。パーラメントの“Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)”を思わせる怪鳥の鳴き声まで飛び出してくる。
@endrecheri_lbl 「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2024」ダイジェストムービーをお届け📹 本日21時〜、新曲「雑味 feat. George Clinton」リリース記念TikTok LIVE!ぜひ遊びに来てください🏃♂️➡️ #BNJF2024 #ジョージクリントン #GeorgeClinton #雑味 #ENDRECHERI #funk #堂本剛 ♬ That's me - .ENDRECHERI.
曲自体もPファンクらしいワンコードのファンクで、シャープなキックがリズムを支え、歌とラップ風のボーカルを交互に展開しながら、キャッチーで歯切れよいホーンのリフとともにコーラスでサビをキメる。そんななか、独特のヨレた声で合いの手を入れるのが、今年で83歳になったジョージだ。ルーズでありながらタイトで、ダンスナンバーとしては踊りづらいというあたりもPファンク的と言えるか。推測の域を出ないが、随所にパーラメントもしくはファンカデリックと思しき曲のフレーズや音色が散りばめられ、曲全体がPファンクへのオマージュとなっている。
とはいえ、今回は気負いがない。これまでもPファンクマナーの曲を作ってきた.ENDRECHERI.だが、憧れのあまりPファンク的なるものが誇張されすぎていた感もあった。ところが今回の“雑味”は、ジョージ・クリントンを招き、一部の演奏も含めて本家と交わることでPファンクらしさが自然な形で表現されている。ジョージを招いたというより、秩父のフェスに飛び入りした時のように堂本がPファンク軍団の曲に客演しているような感覚がある。
一方で、堂本らしく大衆性を意識したわかりやすい曲にもなっていて(それこそがPファンク的なアティテュードとも言えるが)、そうしたバランス感覚が妙味を生んでいる。