ファンクの種を蒔き続けてきた.ENDRECHERI.

日本は他国の文化や習慣などを取り込み、発展と進化を続けてきた国だ。音楽においても同様で、今日における日本のポップス(あえてJ-POPとは括らないでおく)もさまざまな国の多様な音楽の様式が混ざり合った末に形作られている。

堂本剛が現在進行形で力を注いでいるソロプロジェクト.ENDRECHERI.は、長い間、日本の音楽シーンのなかでファンクの種を蒔き続けてきた。単なるジャンルとしてではなく、ジェームス・ブラウンやスライ・ストーン、ジョージ・クリントンといった偉大なる先達らが提唱してきた〈ファンクの精神〉を、堂本剛は.ENDRECHERI.を通じて日本のリスナーに掲示し、蒔いた種を芽吹かせるためにひたすら尽力してきた。

昨年に続き開催された.ENDRECHERI.による主催フェス〈ENDRECHERI MIX AND YOU FES〉は、そうしたファンクの種が芽吹き、大きく花開いたものとなった。2024年は鈴木雅之、Creepy Nuts、Awich、Kroiといったバラエティに富んだラインナップだったが、今年はよりエッジーな出演者が顔を揃え、.ENDRECHERI.とともに最高にファンクなステージを繰り広げた。

 

オーディエンスを味方につけたBREIMENとC&K

お祭りは最初が肝心、と言わんばかりにオープニングから特別な瞬間が訪れる。.ENDRECHERI.がバンドを率いてトップバッターのBREIMENと“FUNK&FUNK”でスペシャルセッションを披露。徐々に熱を帯びていく2組の演奏は、このコラボが決してウォームアップなどではないことを強調している。互いの音と声をぶつけ合うことで、人間臭いファンクの匂いが会場のぴあアリーナMMに充満していった。

.ENDRECHERI.の紹介MCを受け、そのままBREIMENのステージへ。「こんなに大勢の人の前でライブするのは初めてです」と本音を吐露する高木祥太(ボーカル/ベース)。だが、オープニングセッションの勢いで披露された“IWBYL”で各メンバーが高いプレイヤビリティを発揮し、続く”乱痴気”では早くもオーディエンスとのコール&レスポンスを成立させていた。

.ENDRECHERI.とは自分達の2マンツアーで共演経験のあるBREIMENだが、今回は招かれた立場。若干の緊張をステージ序盤に感じはしたが、先の共演の経緯も知っているのか、オーディエンス側のBREIMEN(と、その音楽)への理解がとても深かった(キーボードのいけだゆうたは.ENDRECHERI.のバンドに参加経験あり)。“yonaki”“Rolling Stone”といったタイアップナンバー以外の曲でも観客はしっかりレスポンスに応じ、バンドの出す音にも自信がみなぎっていく。ラストの“MUSICA”までBREIMEN流のファンクを貫き通したエネルギッシュなステージだった。

フェスの2番手を務めたのはC&K。この日はKEENが体調不良のため不参加、急遽CLIEVYのみでの出演となったが、そうした逆境の波を楽しむかのように“C&K IX”からトップギアを入れる。ジェームス・ブラウン風の分厚いファンクで米の美味さをひたすらシャウトする“※がある”で沸かせたあとのMCでは、CLIEVYがKEENのボイスサンプルを巧みに用いて即席の2MCトークを展開。会場が笑いに包まれ、オーディエンスを完全に味方につけると失恋ソング“みかんハート”を披露し、C&Kの型にはまらない一面を見せつけた。

しんみりとした会場の空気を“嗚呼、麗しき人生”がポジティブなものへと変えていく。CLIEVYのしゃがれたハイトーンは歌詞に説得力を与え、1人でステージに立っている彼の昂る感情を生々しく伝えていた。最後はC&Kのマスコットキャラクターである〈しいけさん〉とダンサー達も登場して“入浴”をプレイ。アクシデントも仲間がいれば楽しめる、この日のC&Kのステージは.ENDRECHERI.がフェスを通して伝えたい思いを見事に体現していた。