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松本孝弘 × 横山剣、木梨憲武ならではの異例タッグが生んだ“感情8号線”

――この流れでアルバム収録曲の話に入りたいんですけど、インタールード的に登場する “パトロール”というヒップホップなナンバーがカッコいい。歌詞ではアゲアゲな状態で中目黒を闊歩する様子が描かれていますが……。

「アガっちゃダメだって、メッセージを歌ってるんですよ、あれは。僕はアガんないです、って主張しているんです。アガったら、すぐ気が付きます。で、すぐ家帰ります。

作ろうと思って作った曲じゃなくて、アリモノの曲を聴かせてもらったときに英語のフレーズが〈そこの姉ちゃん〉って聴こえてしまったという。たしか15分ぐらいでできた。あれぐらいかな、俺が唯一触ってる曲って」

――とにかく参加アーティストの豪華さがハンパないです。『木梨ファンク』に続いてのB’z松本孝弘さんの再登板があり、そこにCKBの横山剣さんも加わってしまった“感情8号線”のような組み合わせの妙も聴きもので。

「あのふたりだけが例外的にいっこ年上の参加メンバーです。道端で偶然松本さんを見っけたんで、もう1曲お願いします!って頼んだ。メロディーをもらったタイミングで、ある音楽番組で久々に剣さんとお会いしたんで、じゃあ歌詞よろしくお願いします!って頼んで。松本さんに何の了解もなく」

――(笑)。

「そしたら何の打ち合わせもしてないのに、祖師ヶ谷から環八乗って横浜行って、中華街でご飯食べて帰って来る、っていうめちゃくちゃイイ歌詞があがってきたと。で、間奏とケツに演歌ラップみたいな感じで物語を足させてもらいましたけど」

――ツーカーだったわけですね。

「松本さんにはあとで〈ごめん〉って伝えましたよ。でも松本さんとクレイジーケンバンドってまったく繋がりがないと思うんだけど」

――ノリさんにしか持ち得ていない強力接着剤の効果がフルに発揮された1曲じゃないですかね。

「音楽のジャンルも含めて、つながるはずがないと思うんだけど、そこは、俺のいっこ上の先輩繋がりということで(笑)。

レコーディングした後、ギリギリのタイミングで〈やっぱりラップ入れさせて〉って頼んだんです。またデータ送ってもらって、それをグラミー賞を受賞した松本さんのスタッフがまたミックスやり直してくれて。いちばん時間かかったし、最後の最後までやってた曲なんですよ」

――そうだったんですね。

「〈スーラータン~、スーラータン~〉〈ブルース・リーの黄色いジャージ買っていいんだよ~〉っていれるためだけにすんごい時間をかけた(笑)。

あと最後の最後に、DOUBLEの声が欲しい、って急遽呼んだらすぐに来てくれて。その話をAIにしたら、すごい怒られましたけどね。DOUBLEはそんな軽々しく扱える人じゃないから!って」

 

AIの仕切りで〈すごいR&B隊〉で集結したゴスペル“伝えなくちゃ”

――AIさんは、これまた豪華ミュージシャンが顔を揃えた“伝えなくちゃ”を仕切ってらっしゃる。

「AIちゃんにも、これ最後のアルバムなんで、もう一回曲をお願いって頼んで。またそんなこと言ってる、とか言われましたけど。

AIのライブはちょくちょく観に行くんですよ。そこで素敵なボーカリストのチームと歌うゴスペルナンバーを聴いて、俺もやりたくなっちゃった、ってオファーした。出た! また来たよ!とか言われながら。俺はコーラスの人とかに知り合いがひとりもいないから、メンバー集めといて、って頼んだら、彼女とスタッフたちが動いてくれて」

――そしたらこんなすごい顔ぶれが揃ってしまったと。

「信じられないよ~、〈ノリ、声かけたらみんな『行きたい!』って言ってくれた〉ってAIから連絡がきて。

これまでずっとその音楽を突き詰めてこられた方ばかりだから、楽しかったよ~。レコーディングの現場はヤバかった。全員集合しているのに、ひとりひとり代わる代わるブースに入っていくんだから。で、それぞれが素晴らしいアドリブを披露してくれるんだけど、ミックスが大変でしたよ」

――完成品を改めて聴いてどう感じていらっしゃいますか?

「いやぁ、だからひとつのメロディーのなかにアーティストたち全員がいるわけですよ。現場にいたから全員のその姿がしっかりと焼き付いている。みんなも〈ヤバい! 緊張する!〉って言いながら、バッチリやってくれてね。最後に俺が入っていくわけだけど、さぁどうする?って話になりますよ。でもまぁ、間違いなくイイものができるってことはずっと見えてましたから。

あとみんなには、一回だけ発表会の場があるから、いっしょに行こうね、とは伝えてある」

――あ、年末恒例のあの歌番組ですか!

「そう、暮れの大きな歌番組。その一回こっきりだと思うんだけど、たぶん全員集合して歌っちゃうと思うんで。すごいR&B隊があのステージに集結しますよ。その様子をイメージするだけで、もうワクワクが止まらなくなる」

――同じくです。そのステージが実現したら、このアルバムを巡る物語がようやく完結することになるんでしょうね。

「まぁ最後のアルバムだしね(笑)。次は『木梨演歌』を仕上げにかかろうかな」

――あと所ジョージさんとヒロミさんとの“空を見上げた”がメロウなレゲエナンバーに仕上がっていますね。

「RED SPIDERがバッチリ料理してくれて、そこにHAN-KUNが湘南乃風を代表してきてくれたんだよね。こういうゆったりとしたレゲエもあれば、CHEHONが参加してくれた“No Pain No Gain”のような尖ったレゲエもあって、全10曲それぞれの形が出来上がっている。参加してくれたみんな顔色良くやってくれたよね。嬉しいですよ。ほんと感謝しかないですよ」