木梨憲武が最新アルバム『木梨ソウル』を引っ提げた単独公演〈木梨ソウル・ザ・ライブ〉を開催した。豪華なゲスト陣を迎えて行われた、最高にソウルフルな一夜の公式レポートが届いた。 *Mikiki編集部


 

DOUBLE、SWAYとの共演に誰もが釘付け

2024年10月30日にリリースされた木梨憲武の3rdアルバム『木梨ソウル』を基盤とした一夜限りのプレミアムライブが2025年2月7日、Zepp DiverCity(Tokyo)で開催された。木梨のアーティストとしての幅広く深い音楽探究と多彩な人脈が織りなす、特別なエンターテインメントショーになった。

ステージのバックに構えるLEDスクリーンに映し出された退廃的なオープニング映像とSEが流れ出す。〈イェッ〉とマイクテストをするように薄暗いステージにぬうっと現れた木梨。スクリーンに映し出された宇宙空間の映像と共に“No Gravity”でライブは始まる。ステージ上は暗いままで、後方に構えるDJ RYOWが流すダークなトラックが無機質な雰囲気を醸している。そこに木梨は〈宇宙を漂うように〉〈自由に感じるままに〉淡々と声を重ねていき、会場をあたかも無重力のような空間に創り上げた。

軽快なリズムと明瞭なギターフレーズに合わせてステージから無数の光が放たれる。銀色に光るジャケット姿の木梨の姿が顕になると、大きな歓声が上がった。始まったのは“GG STAND UP!!”だ。ダンサーも登場し、ファンクでポップなリズムに合わせてキレのあるステップを踏む木梨。〈謙虚にグイグイ行こうぜ〉と、同世代へ向けてのポジティブで力強いメッセージを込めた歌詞を、ソールドアウトでフロアを埋め尽くしたオーディエンスに掲げながら、そして己を奮い立たせるように歌っていく。

歌もダンスも一切の隙を見せないパフォーマンスで攻める木梨。その姿は紛れもなくアーティストだ。続く“MNSM”ではダンサーと共にステージを右左へと華麗に行き来し、抜群のリズム感で魅了する。誰もがそのステージングに釘付けになっていると、「そこのねーちゃん!」と不意を突くように奇抜なトラックが流れた。木梨は「そこのねーちゃんたち、お台場ライブ終わったら中目黒集合ッ!」と楽曲の世界観へ引き摺り込みながら、「嘘!」とオチをつけながらバブル時代のディスコ事情を描いた“パトロール”で会場のテンションをブチアゲる。そのままコミカルなビートが傾れ込み、“ゲット・オン・ザ・風呂”へ。洗面器とタオルを小脇に抱えたSWAYがステージに乱入。風呂ならぬ、高速なフロウをエッジーにキメ、スクリーンに映し出された無尽蔵に増える『木梨ソウル』ジャケットの木梨と、リアルな木梨と一緒にステージを所狭しと暴れ回った。

SWAY

SWAYが“Life Coaster”をハッピーかつ硬派にかましたあとは、打って変わって木梨流R&Bと演歌の融合“感情8号線”。ムーディなネオン混じりの映像を背に木梨がこぶしを効かせたソウルフルな歌声を響かせていると、2コーラスめで全身白を纏ったDOUBLEが登場。コミカルな歌詞を歌うR&Bの女王の姿にオーディエンスは戸惑いながらも、2人の絶妙で奇妙なデュエットが会場を酔わせた。彼女のそうした意外な一面を引き出せたのも木梨だからこその為せる業。そんなDOUBLEは、人前で歌うのは10年以上ぶり(?)だという“残り火”を披露。圧倒的な歌の強さを魅せつけた。

DOUBLE