Photo by Kato Shumpei

YOASOBIの結成5周年を記念した初のドームライブ〈YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE 2024 “超現実”〉が開催された。京セラドーム大阪、東京ドームで計4公演が行われた同ライブは、約17万人を動員。YOASOBIにとって一つの節目でもあり、次なるステージに向けた新たな一歩となるライブとなった。

そんな記念すべきライブより、東京ドーム最終日の公式レポートが到着した。 *Mikiki編集部


 

YOASOBIのオリジナリティと楽曲の世界観に浸った〈超現実〉

5年前の10月1日、〈小説を音楽にするユニット〉として誕生した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraによるユニット・YOASOBI。数々のヒット曲と国内外での目覚ましい活躍で常に音楽シーンを賑わせながら、ノンストップで迎えた節目の5周年を記念する、自身初の単独ドームライブ〈YOASOBI 5th ANNIVERSARY DOME LIVE “超現実”〉のファイナル公演が、2024年11月10日に東京ドームにて開催された。

京セラドームでの2日間と、前日の東京ドーム公演を経ての千秋楽。見切れ席も含めた5万枚のチケットは早々にソールドアウトとなっただけあって、開場前から周辺の賑わいはさながら秋祭りの様相だ。曇天をも吹き飛ばすようなその熱気をまるごと閉じ込めた夕方17:00すぎ、破裂せんばかりに膨らんだ期待感の中、〈超現実〉は幕を開けた。

Photo by MASANORI FUJIKAWA

初々しさも残る過去のライブ映像が入り乱れるオープニング、繰り返される〈超現実の世界へようこそ〉というフレーズ、大型LEDに迫力満点に投射されるYOASOBIロゴ。かと思えばモンスターの爪がYOASOBIの文字を真一文字に引き裂き、隙間から二本の巨大な手が這い出してくる。中央上段でモンスターの目が瞬くと、Ayaseとikuraのシルエットが浮かび上がった。凄まじい情報量に観客は釘付けだ。

その勢いのままエキセントリックな“セブンティーン”のイントロでライブがスタート。“祝福”“怪物”と疾走感溢れるナンバーが続き、LEDには蠢くモンスターと、ステージで躍動するメンバーの不敵な表情がかわるがわる映し出される。ikuraの度重なる煽りに、観客のボルテージは曲を追うごと加熱し、2024年一発目の新曲である“UNDEAD”の歌い出しにも大きな歓声が上がる。

Photo by Kato Shumpei

デビュー当時こそ、インターネットをバックグラウンドにした若者のムーブメントという印象であったYOASOBIも、三度の「NHK紅白歌合戦」出場や、飾らない2人のパーソナリティも相まって国民的な人気を獲得している今、座席を見わたすとその客層の広さに改めて驚かされる。自己紹介を挟んで披露した初期の人気曲“ハルジオン”や、ピュアな恋心をキュートに歌う“好きだ”、朝のニュース番組のテーマソングとしてコロナ禍の日常に寄り添った“もう少しだけ”などの幅広い楽曲群に、極限まで高められた会場の緊張感もいい意味でほぐされた様子だ。

ステージ向かって左側には、自動販売機とベンチというノスタルジックなセットが。物語を紡ぐように“海のまにまに”“優しい彗星”を届ける姿に、〈小説を音楽にする〉というユニットのオリジナリティと、楽曲ごとの世界観に浸る心地よさを感じさせられた。