©Harald Hoffmann / Deutsche Grammophon

辻井伸行がドイツ・グラモフォンから待望のデビュー・アルバムをリリース

 2009年に第13回ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールで日本人として初優勝を果たし、国際的ピアニストとして着実な歩みを見せているピアニストの辻井伸行。今年の4月には世界最古のクラシック音楽専門レーベルであるドイツ・グラモフォンとグローバル専属契約を結び、待望のデビュー・アルバムが遂にリリース。ベートーヴェンのピアノソナタ第29番“ハンマークラヴィーア”が収められている。

 「“ハンマークラヴィーア”はヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクールでも演奏した思い入れのある曲です。そのときから15年が経ち、新たな挑戦という想いを込めて今回選ばせて頂きました」

辻井伸行 『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》、遥かなる恋人に』 Deutsche Grammophon/ユニバーサル(2024)

 演奏至難な作品であり、コンクールで演奏すること自体非常にリスクの伴う曲である。なぜ当時の辻井はこれを〈勝負曲〉として選んだのだろうか。

 「もちろん本当に難しく、大きな曲で、特にコンクール当時はまだ二十歳でしたから、表現についても大いに悩みました。ただ、どうしても弾きたいという想いがありました。作曲当時のベートーヴェンは難聴など様々な苦しみのなかでこの曲を書きあげており、そんな彼の戦う姿に私自身の戦いを重ねた部分もあったと思います。今回新たに取り組んでみて、以前よりもたくさんの魅力に気が付くことができましたし、ベートーヴェンが生きていた時代のピアノに触れたこともあり、表現についてもかなり変わってきました。かなり新しいものをお届けできると思います」

 今回のCDにはベートーヴェンの連作歌曲集“遥かな恋人に”をリストがピアノ独奏のために編曲したものも収録されている。

 「色々な候補があるなかで、とても惹かれるものがあり選びました。ピアノは減衰楽器なので歌のように演奏をするのはとても難しいのですが、色々な歌手の演奏を聴かせて頂き、タッチやフレージングを工夫し、歌詞の意味を考えることで、私ならではの表現が作り上げられたと思います。特に間の取り方などは考えましたね。6曲それぞれが違うキャラクターをもっているので、その違いもぜひお楽しみいただきたいです。歌曲集の美しい世界に浸っていただいた後に“ハンマークラヴィーア”での長い旅へと続いていく構成にしているので、ぜひこの世界観もお楽しみいただければと思います」

 将来的にはベートーヴェンのピアノソナタ全曲の演奏もしたいと話してくれた辻井。彼のこれからの挑戦にもますます期待が膨らむ。

 


LIVE INFORMATION
ロウヴァリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 日本ツアー

2025年1月19日(日)福岡・福岡シンフォニーホール *完売
開場/開演:14:30/15:00

2025年1月20日(月)東京・サントリーホール
開場/開演:18:15/19:00

2025年1月21日(火)神奈川・横浜みなとみらいホール 大ホール
開場/開演:13:15/14:00

2025年1月22日(水)東京・サントリーホール
開場/開演:18:15/19:00

2025年1月24日(金)神奈川・ミューザ川崎シンフォニーホール
開場/開演:18:00/19:00

2025年1月25日(土)大阪・フェスティバルホール
開場/開演:13:00/14:00

2025年1月26日(日)愛知・愛知県芸術劇場コンサートホール
開場/開演:13:15/14:00

■曲目
グリーグ:ピアノ協奏曲、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番ほか

https://avex.jp/classics/po2025/