佐渡裕や辻井伸行が全面協力! 本格的音楽エンターテインメント

 本作は2008年に第12回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞に輝いたさそうあきらの同名漫画を、『毎日かあさん』等、人情味溢れる作品を届けている小林聖太郎が監督を務め映画化された。キャスト陣も見応え抜群! 2014年の大河ドラマ『軍師官兵衛』をはじめ映画や舞台と次々と話題作に出演している松坂桃李。そして今回の作品が映画初出演となった、現在注目のシンガーソングライターmiwa。個性派俳優の西田敏行濱田マリらが出演。

 共に音楽を愛し奏でてきた“中央交響楽団”。一度は解散し各々の道を歩んでいたが突如1ヶ月後に演奏会を開催するという事で再結成。だが、再度集結した団員達の人生は様々だ。第1ヴァイオリンでコンサートマスターの香坂真一(松坂桃李)は、海外のオーディションに落選する等もがき苦しんでいた。定年退職と共に妻に逃げられた者。病に侵されながらも回復し、懸命に生きている者。プロとしてプライドを持って演奏しているメンバー達。そこに突如として現れたのがアマチュアのフルーティスト橘あまね(miwa)。そして、正体不明のマエストロ天道徹三郎(西田敏行)。多くの苦難と葛藤を乗りこえながら、予想だにしない結末へとその調べは続いてゆく……。

 

 マエストロの初登場シーン。何とコメディか?と一瞬思いきや、とんでもない。この作品には現代社会に通じる人と人との繋がりや愛、そして生と死がつまっている。父が残した“天籟”の音色を追い求めながら理想の音を奏でられずにいる香坂真一。震災で両親を亡くした橘あまね。謎のマエストロ・天道徹三郎は、過去の痛みを引きずりながら、愛する者の為に生きていた。物語の団員達が、各々の苦難を抱きながらも、誰かと響き合う一瞬を求め演奏し続けているように、私たちも又、それぞれの“音”を追い求め日々生活している。だからこそ、そこに共通する何かを感じ取ることができるのだ。

 この1本の作品を通して、自分自身の“天籟”を追い求め、人生を生きていきたいと思ってならない。

小林聖太郎 マエストロ! アスミック・エース(2015)

 

マエストロ!
監督:小林聖太郎
脚本:奥寺佐渡子
出演:松坂桃李/miwa /西田敏行/他