
*2020年5月12日追記
〈琉球交響楽団《はじめての東京公演》〉開催再延期のおしらせ
2020年6月12日(金)に東京・赤坂サントリーホールで開催を予定されておりました〈琉球交響楽団創立20周年記念コンサート(琉球交響楽団《はじめての東京公演》)〉は、5月4日に政府より発令された緊急事態宣言延長および東京都より示された外出自粛要請を受けて、お客様・出演者の安全を考慮し、2021年6月21日(月)に再延期となりました。詳細は下記オフィシャルサイトをご確認ください。
https://avex.jp/classics/news/
https://avex.jp/classics/ryuky
*2020年3月25日追記
〈琉球交響楽団《はじめての東京公演》〉開催延期のおしらせ
2020年4月6日(月)に東京・赤坂サントリーホールで開催を予定されておりました〈琉球交響楽団創立20周年記念コンサート(琉球交響楽団《はじめての東京公演》)〉は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年6月12日(金)に公演延期となりました。詳細は下記オフィシャルサイトをご確認ください。
https://avex.jp/classics/news/detail.php?cd=TUJII&id=1082417
https://avex.jp/classics/ryukyu2020/
〈琉球交響楽団〉15年ぶりの新譜と初の東京公演に燃える指揮者、大友直人~著書『クラシックへの挑戦状』でも怪気炎!?
端正な風貌、オーケストラから美しい響きを引き出す名手の大友直人もいつの間にか還暦(60歳)を超え、ベテラン指揮者の域に達した。NHK交響楽団指揮研究員の若き日から親交があった当時のN響トランペット奏者で沖縄県出身、後に沖縄県立芸術大学教授を務めた故・祖堅方正氏の要請で沖縄に誘われた。2001年に発足した同県初のプロ・オーケストラ、琉球交響楽団の音楽監督(最初はミュージック・アドバイザー)を一貫して務め、今年(2020年)3月に15年ぶりの新譜『沖縄交響歳時記』(リスペクトレコード)をリリースするのに続き、4月6日にはサントリーホールでピアノの辻井伸行をゲストに迎え、楽団初の東京公演にも臨む。大友個人としては初の著書「クラシックへの挑戦状」(中央公論新社)を出し、長年の現場体験に基づく率直な発言の数々を披露した、まさに〈時の人〉。思いの丈を存分に語ってもらった。
「沖縄とは最初、縁もゆかりもありませんでした。1993年のある日、祖堅さんから電話で頼まれ、1994年に沖縄での演奏会を指揮したのが最初です。桐朋学園での高校生時代は先生と生徒、N響ではトランペットセクションの柱と研究員の関係でした。祖堅先生いわく〈沖縄県立芸大は新設校で日が浅いけれども、ようやく卒業生を出してアンサンブルを組めるようになったから指揮をしてほしい〉とのこと。その年に1週間、翌年にもう1週間…と指揮をするなか、初めてゆっくり話す機会が持てました。〈県立芸大を卒業しても、プロの演奏家として活動できる土壌がまだない〉といい〈どんな小編成でもいいから、プロのオーケストラがほしい〉と願いながら数年をかけ、琉球交響楽団につながる構想を固めていきました。沖縄は元々、伝統的に芸能が盛んな土地柄です。アマチュアオーケストラにも長い活動歴があって、以前私も指揮したことが有りますが、水準もかなり高かったと記憶しています。唯一、専門教育を受けたプロ奏者のグループがなかったのです。県立芸大の卒業生をはじめとする沖縄出身&在住の演奏家、ゆかりの奏者を集めて琉球交響楽団が発足したのは、画期的な出来事でした」
「15年ぶりの新譜に収め、東京公演で演奏する全6楽章の交響曲《沖縄交響歳時記》の作曲者、萩森英明さんとも長いお付き合いです。東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業された直後から『題名のない音楽会』(テレビ朝日)や『ビルボード・クラシック』、アニメーション音楽などの作・編曲者として多くの経験を積まれています。制作現場をご一緒する機会が多く、かなりしっかりしたスコアを書き、良い感性を持つ人だという印象を持ってきました。過去にも琉球響、群馬交響楽団、東京交響楽団などで萩原さんの作品を演奏、今回が4作目の委嘱になります。2005年4月にリリースしたファーストアルバム『琉球交響楽団』には沖縄の良く知られた民謡、わらべ歌、ヒット曲など短めでポピュラーな作品を長山善洋さんの編曲で収めました」
「琉球響は小さなオーケストラですが、機能的には何でも演奏できるだけの態勢が整っています。音楽監督としての1つのコンセプトは『新作を継続して紹介する』ことです。沖縄のお客様に感動していただける新作を生み続けていくこと、が楽団のあり方の基本にあります。2作目のCDでも過去無数に存在するベートーヴェンやブラームスを避け、萩森さんの新作としたのは〈我々でなければ演奏できない音楽〉にこだわったからです。もちろん〈ならば作曲家も沖縄出身で〉との思いが、楽員にあるのは知っていました。しかし見方を変えれば、異質な者どうしが力を合わせたときにしか生まれない世界の広がりとパワーの強さに私は魅力を感じます。敢えて沖縄と無縁だった萩森さんを選び、現地視察旅行もしていただいた上で沖縄の素材を使い、作曲してもらうのは賭けでしたが、幸いにも素晴らしい曲に仕上がっています。この『沖縄交響歳時記』を携えて東京公演を行い、中学生時代から面識のある辻井伸行さんがピアノ協奏曲(ラフマニノフの第2番)の独奏だけでなく、ソロの自作《沖縄の風》(琉球響の委嘱新作)初演も引き受けてくださるのは嬉しくもあり、素晴らしいことでもあります」

「琉球響は発足当時から財政基盤が確率できず、〈いつまで続くか〉の不安を常に抱きながら〈恒常的な活動だけは続けよう〉との熱い思いを胸に、年2回の定期演奏会を死守してきました。もちろん学校の訪問、小規模の音楽教室など地域密着の教育活動も沖縄在住のメンバーを中心に粘り強く続けています。私が直接かかわるのは基本的には年2回の定期演奏会です。約35人の固定メンバーにエキストラを交え、幅広いレパートリーに挑んでいます。『クラシックへの挑戦状』を書いたきっかけでもありますが、私の考えは現在、クラシック音楽を演奏するオーケストラが社会の中で存在することへの根源的問題へ絶えず向かっていくのです。18~20世紀の西欧社会で急激に発展・熟成した音楽財産が今もクラシック音楽の中心であるなか、21世紀の日本社会の市民にどのような音楽のニーズがあるのか、私たちははっきり把握できているのでしょうか? 以後も時代ごとの新作が生まれ続けていても、どれだけ人々の心をとらえ、必需品となっているかに関してはもう一歩踏み込んで、真摯にとらえる必要があります。単純に〈聴きやすい〉ではなく〈本当に人の心を揺さぶる〉ことこそ、作曲の第一義であってほしいのです」
「私は佐村河内守さんの交響曲を指揮したことで(後にゴーストライターの存在が判明)、一部の人達から批判にさらされました。代筆した新垣隆さんは桐朋学園の後輩で日本を代表する作曲家、故・三善晃先生の高弟でしたから、しっかりしたスコアでしたし、この作品をとり上げたプロセスも含め憶測や事実誤認の発言があった事は残念でした」
「AI(人工知能)が作曲や演奏の分野に進出するなか、私が危惧するのは、様々なプロセスを省いてもある程度の結果が得られる社会になってしまうことです。プロセスの手間ひまかけず、簡単につくられたものに人は感動しないのではないでしょうか? 〈でも大友だって初音ミク(ヴォーカロイド)が歌う作品を演奏、録音したじゃないか〉と言われるかもしれませんが、あの《イーハトーブ交響曲》は最晩年の冨田勲先生の長年の夢と思い入れが詰まった実験的な作曲でした。私も最初は初音ミクに疑問もありました。しかし〈宮澤賢治の世界を交響曲で描きたい〉との願いをどういう響きで表現するかを究めるプロセスで、冨田先生は初音ミクに出会い、〈賢治の現実とはかけ離れた四次元の世界を描くのに最適のキャラクター〉と判断とされたのです。私たち職業音楽家の使命とは、聴衆に圧倒的な何かを感じてもらうための創作に取り組み続けることなのだと、改めて思いました」
「日本のクラシック音楽界に希薄で、欧米で強いのはエンターテインメントビジネスの自覚です。〈何をすべきか〉といった高尚な話ではなく、常に〈何かしなければ生き残れない〉世界です。敢えて日本人音楽家についてコメントすれば自分も含めこの認識が甘いのかもしれません。交通も通信も発達した今の世の中、日本の音楽の現場がもう少しグローバル化すべきとの考えから若い才能を世界中から集める音楽セミナー〈ミュージック・マスター・コース・ジャパン(MMCJ)〉にも20年前から取り組んできました。私は若い頃から20年先を生きるのがモットーでしたが、日頃から思ってきた事などを中心に『クラシックへの挑戦状』を書かせていただきました」
大友の熱い思いが〈真実〉なのか〈怪気炎〉なのかについては、クラシック音楽に興味のある人それぞれが判断すべき設問だろう。琉球交響楽団の新譜『沖縄交響歳時記』、あるいは東京公演にじっくりと耳を傾けるとき、その答えの一端は明らかとなるはずだ。
大友直人(おおとも・なおと)
1958年東京生まれ。桐朋学園大学を卒業。指揮を小澤征爾、秋山和慶、尾高忠明、岡部守弘各氏に師事。桐朋学園大学在学中からNHK交響楽団の指揮研究員となり、22歳で楽団推薦により同団を指揮してデビュー。以来、国内の主要オーケストラに定期的に客演するほか、日本フィルハーモニー交響楽団正指揮者、大阪フィルハーモニー交響楽団指揮者、東京交響楽団常任指揮者、京都市交響楽団常任指揮者兼アーティスティック・アドバイザー、群馬交響楽団音楽監督を経て、現在、東京交響楽団名誉客演指揮者、京都市交響楽団桂冠指揮者、琉球交響楽団音楽監督。
寄稿者プロフィール
池田卓夫(いけだ・たくお)
東京都出身の戌年天秤座。1981~2018年は新聞記者。1988~92年のフランクフルト支局長時代〈ベルリンの壁〉崩壊やドイツ統一を現地から報道した。音楽についての執筆は高校生で始め1986年以降、「音楽の友」「intoxicate」など専門誌に寄稿。現在は〈いけたく本舗〉の登録商標でフリーランス。解説MC、通訳、コンクール審査、地方自治体の文化政策アドバイザーなども行う。公式HP→https://www.iketakuhonpo.com/
LIVE INFORMATION
アルバム発売コンサート
東京サントリーホール公演壮行コンサート
○2020年4月3日(金)18:00開場/19:00開演
【会場】アイム・ユニバースてだこホール(沖縄・浦添市)
https://www.tedakohall.jp/
琉球交響楽団創立20周年記念コンサート
2020年4月6日(月)18:15開場/19:00開演 ※延期
2020年6月12日(金)19:00開演 ※延期
2021年6月21日(月)19:00開演
【会場】サントリーホール(東京)
【出演】辻井伸行(ピアノ)/大友直人(指揮)/琉球交響楽団
【曲目】
モーツァルト歌劇《皇帝ティートの慈悲》序曲
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
辻󠄀井伸行:沖縄の風(琉球交響楽団 創立20周年記念委嘱作品)
萩森英明:沖縄交響歳時記 ※沖縄の四季折々の豊かな風物や風習を織り込み、最終楽章にカチャーシーを取り入れ〈島人魂〉を詰め込んだ全6楽章からなる大作https://avex.jp/classics/ryukyu2020/