繰り返すトランペットのファンファーレや突然の音楽の断絶が炸裂するブルックナーの意欲作を音楽家エッシェンバッハの長年の経験値を総投入した渾身の名演。すべてが大河の流れの中で自然に進む。休止もただの無音になることなく音楽的な静寂。オーケストラも指揮者の底知れない音楽性に信頼を寄せて素晴らしい音楽を奏でている。この作曲家はエッシェンバッハの重要なレパートリーであるが、レコーディングに限ると、この第2番が今回で2種目、第6番は非正規盤を含めると10種類近くが存在する。交響曲作品の中でも地味ながら楽譜の改訂が少なく作曲家の真髄を堪能できる2作品に深い愛情を注ぐ。