ガーディアン紙のインタヴューで年齢を訊かれて「2万歳」と答えるなど、突飛な発言が多いロンドンのラッパーによる初のオリジナル・アルバムは、現在のUKラップにおいて孤高の存在感を放つ。UKガラージ、グライム、ドラムンベースなどの要素で構成された曲群に触れると、ティルザやキング・クルールといったシンガー・ソングライターが脳裏に浮かぶ。ざらついた音色とダビーなプロダクションが際立つポスト・パンクと評せる“Money Shows”を筆頭に、UKラップの音楽性を拡張する曲が多数収められている。日常の風景と幻想が入り混じったような歌詞の律動的なグルーヴもグッド。