日本の歴史に比べて複雑な印象のヨーロッパ史。作曲家は今も昔も時の政治の影響を受けている。フランス革命からナポレオン登場と失脚の時代、オーストリア・ドイツはウィーン会議後の〈三月前期(フォアメルツ)〉に入り、フランスは王政の終焉を迎える時期の紹介が特に興味深い。ウィーンでは音楽家がパトロン頼りからフリーランスに移行する過渡期のベートーヴェンが、そして言葉を伴う作品は検閲される時代のシューベルトが引きこもってサロンで室内楽器楽の作品を創る。パリはロッシーニが席巻しベルリオーズが巨大作品を生み、リストとショパンも登場。彼らの名曲を聴く新たな視点を与えてくれる。