時空を超える迫力を生んだ強力なアンサンブル
ロック、ジャズ、ファンク中心の高度なリアルクロスオーバーサウンドを、耳が肥えた特定音楽ファン相手ではなく、あくまで万人向けのポップフォーマットへと落とし込む。そのため彼らはリスナーに強いインパクトを与えるべく、体育会系のノリで研鑽に研鑽を重ね、アンサンブル強化を徹底した。
しかも彼らには、プロ集団には付き物の、あるモノがなかった。そう、譜面が用意されなかったのだ。とりわけ初期2作のアレンジは、メンバーたちのヘッドアレンジによって構築されたもの。でも逆にそれが各自の当事者感覚を強め、グループの一体感を育んだ。スペクトラム・サウンドの圧倒的パワーとエッジの鋭さは、個々の演奏スキルと時に一日12時間に及んだという練習量、そこに共同体意識の強さが加わって生まれたものなのだ。
それこそ、いま話題の“F・L・Y”のイントロの6連フレーズは、当のメンバーでさえ「もう吹けない」と言うほど。でもそれが唯一無二、ワン&オンリーのカッコ良さ、いまだにフォロワーが誕生しない圧倒的存在感に繋がった。そしてこの迫力が音に刻まれ、時空を超えたのである。
個性豊かなメンバーが広げた多彩な音楽性
また8人のメンバーの音楽性が多彩で、コンテンポラリーなポップロックからブラスバンドスタイル、クラシックまでとかなり幅広かったこと、半ば偶然ながらタイプが異なる3人のボーカリストが揃ったことも、スペクトラムの魅力を高めた要因だ。
ダントツ人気“F・L・Y”では、ファルセットの新田、ハスキーボイスの西慎嗣(ギター)が入れ替わりながらリードボーカルを取り、コーラスパートには渡辺直樹(ベース)が声を重ねる。解散後の1991年に発表されたリミックスアルバムでは、ビックリするくらい本格的なアカペラパートが追加された。
その“F・L・Y”に次ぐ再生回数を叩き出している“凍った太陽”や“サンライズ”のメインボーカルは西、“パッシング・ドリーム”は渡辺である。加えてメンバーのギャグ好きは一部のノベルティソング誕生に発展し、これも彼らの音楽性を広げる一翼を担った。
ノスタルジーも流行も超える普遍的魅力
1980年前後のわずか2年間だけ活動した幻のグループで、その後の再結成は一度もない。けれどこのパッショネイトなサウンドを聴いて、まったりとノスタルジーに浸る者もそう多くはないはずで、思わず腰が浮いてしまったり、手足を動かしてしまったり……。それが今、海外ではまさに新しい音楽として親しまれている。
そこにあるのは普遍的な音楽的魅力。音楽ジャンルが細分化され、ほとんどすべてのアイディアが出尽くしてしまった昨今、未来に向けて古臭くなり寂れていくのは、むしろその時々のハヤリを意識して大衆化を狙った音作りなのだろう。スペクトラムやシティポップの再評価ムーブメントは、それをハッキリ証明している。
RELEASE INFORMATION
リリース日:2020年10月28日(水)
品番:NCS-80015
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. アクトショ-(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
2. ファースト・ウエイヴ(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
3. ノー・タイトル(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
4. ロリータ(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
5. メモリー(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
6. クェッション’81 & ’82(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
7. パッシング・ドリーム(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
8. トマト・イッパツ(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
9. ロックン・ロール・サーカス(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
10. 1920、アミューズ・カンパニー ~スマイル・フォー・ミー(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
[ボーナストラック]
11. トマト・イッパツ(シングル・ヴァージョン)(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)(SV-6633-A)
12. ロリータ(シングル・ヴァージョン)(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)(SV-6633-B)
13. 裕矢のテーマ(作詞:伊里渚 作曲・編曲:新田一郎)(歌:新田一郎 演奏:ホーン・スペクトラム+スーパーリズムセクション)(VV-5 A)
14. サーキットのバラード(作詞:伊里渚 作曲・編曲:新田一郎)(演奏:ホーン・スペクトラム+スーパーリズムセクション)(VV-5 B)
リリース日:2020年10月28日(水)
品番:NCS-80016
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. モーション(作詞:桑田佳祐 作曲・編曲:スペクトラム)
2. F・L・Y(作詞:MABO 作曲・編曲:スペクトラム)
3. 侍ズ(作曲・編曲:スペクトラム)
4. イン・ザ・ズペース (作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
5. ミーチャン・ゴーイング・トゥ・ザ・ホイクエン(作詞・作曲・編曲:スペクトラム)
6. ソング(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)
7. サンライズ(作詞:山川啓介 作曲・編曲:スペクトラム)
[ボーナストラック]
8. イン・ザ・スペース(シングル・ヴァージョン)(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)(SV-6658-A)
9. アクト・ショー(LIVE)(作詞:宮下康仁 作曲・編曲:スペクトラム)(SV-6658-B)
10. サンライズ(シングル・ヴァージョン)(作詞:山川啓介 作曲・編曲:スペクトラム)(SV-7008-A)
リリース日:2020年11月25日(水)
品番:NCS-80017
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. Vol.1 Reminiscence(回想)
2.(i)His Native Place(故郷)
3.(ii)Longing(思慕)
4.(iii)Children(子供たち)
5.(iv)God(神)
6. Vol.3 An Illusion(幻夢)~The South Pacific(南太平洋)
7. Vol.4 Awakening(目覚め)
8. 夜明け(アルバ)
9. すべて懴悔だけ
10. 四季
11. あがき
12. やすらぎ
[ボーナストラック]
13. 夜明け(アルバ)(シングル・ヴァージョン)(作詞:近田春夫、スペクトラム)(SV-7061-A)
14. やすらぎ(シングル・ヴァージョン)(SV-7061-B)
リリース日:2020年11月25日(水)
品番:NCS-80018
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. Night Night Knight(作詞:巻上公一 作曲:渡辺直樹 編曲:スペクトラム)
2. Summertime Story(作詞:宮下康仁 作曲:西慎嗣 編曲:スペクトラム)
3. Paradise(作詞:スペクトラム 作曲:奥慶一 編曲:スペクトラム)
4. Never Can Say Good-Bye(作詞:篠塚満由美 作曲:渡辺直樹 編曲:スペクトラム)
5. たそがれFeedback(作詞:山川啓介 作曲:新田一郎 編曲:スペクトラム)
6. Slapdash(作曲:奥慶一 編曲:スペクトラム)
7. なんとなくスペクタクル(作詞:篠塚満由美 作曲:西慎嗣 編曲:スペクトラム)
8. 凍った太陽(作詞:巻上公一 作曲:奥慶一 編曲:スペクトラム)
9. Elegant Lady(作曲:吉田俊之 編曲:スペクトラム)
10. Needs(作詞:篠塚満由美 作曲:渡辺直樹 編曲:スペクトラム)
11. Second Navigation(作詞:山川啓介 作曲:岡本郭男 編曲:スペクトラム)
[ボーナストラック]
12. Night Night Knight(シングル・ヴァージョン)(作詞:巻上公一 作曲:渡辺直樹 編曲:スペクトラム)(SV-7128-A)
リリース日:2020年11月25日(水)
品番:NCS-80019
価格:4,400円(税込)
TRACKLIST
1. ブラスバンド・クラブのテーマ(作詞・作曲・編曲:兼崎順一)
2. I Love P.T.A.(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
3. たじろぎの英語教師(グラマー・ティーチャー)(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:兼崎順一)
4. 理科室のメロディ(作曲・編曲:兼崎順一)
5. 小さく前へならえ(作詞・作曲・編曲:兼崎順一)
6. 青春とはなんなんだ!(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
7. エレガント・レディ(うたたねの境地)(作曲・編曲:吉田俊之)
8. ファンキー身体検査(作詞:新田一郎、綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
9. 恋の給食タイム(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
10. 先生のひとり言(作詞・作曲・編曲:兼崎順一)
11. ガンバレ応援団(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
12. 正調もんぎり節(男女交際篇)(作詞・作曲・編曲:新田一郎)
13. おちゃめな校長先生(作詞・作曲・編曲:兼崎順一)
14. 先生がママにキスをした(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:奥慶一)
15. 遠足ロックン・ロール(作詞・作曲・編曲:新田一郎)
16. もういくつ寝ると18才未満(伊勢佐木町ブルース)(作詞:鈴木庸一 作曲・編曲:新田一郎)
17. コンクールが近いよ(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
18. マイ・フレンズ(作詞:綾狩一郎 作曲・編曲:新田一郎)
19. イン・ザ・スペース(作曲・編曲:スペクトラム)
20. 1920、アミューズ・カンパニー(作曲・編曲:スペクトラム)
INFORMATION
スペクトラムの楽曲はストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて配信中。
“F・L・Y”:https://jvcmusic.lnk.to/spectrum-fly
プレイリスト〈はじめてのスペクトラム〉:https://jvcmusic.lnk.to/Hajimeteno_spectrum
PROFILE: SPECTRUM
1970〜80年代にかけ、サザンオールスターズをはじめ数多くのロック・ポップス系アーティストのレコーディング/ライブに引っ張りだこの、アレンジも演奏も振り付けも自分たちでやってしまう日本初の管楽器だけのユニット〈ホーン・スペクトラム〉のリーダー新田一郎(トランペット/ボーカル)と兼崎順一(トランペット)を中心に渡辺直樹(ベース/ボーカル)、西慎嗣(ギター/ボーカル)、吉田俊之(トロンボーン)、岡本郭男(ドラムス)、奥慶一(キーボード)らでスペクトラムを結成。後に今野多久郎(パーカッション)が加入。様々な音楽シーンで活動する精鋭揃いで、1979年の米LA録音による1stアルバム発表から1981年の日本武道館での解散コンサートまでの約2年間、3人のホーンセクションをフロントにタイトで歯切れの良いブラスサウンドを打ち出し、独特のファルセット中心のボーカル、16ビートのリズムなどブラックミュージックのスタイルを日本にいち早く導入した。派手な甲冑の衣装でのライブパフォーマンスなどビジュアル要素を重視したエンターテイメント性は類のない特異的な存在として高く評価されている。現在も活躍する多くのアーティストに影響を与え、日本の音楽シーンのレベルアップに貢献したその功績は不滅である。
■SPECTRUM
新田一郎(トランペット/フリューゲルホルン/トロンボーン/ボーカル)
兼崎順一(トランペット/フリューゲルホルン)
渡辺直樹(ベース/ボーカル)
西慎嗣(ギター/ボーカル)
吉田俊之(トロンボーン)
岡本郭男(ドラムス)
奥慶一(キーボード)
今野多久郎(パーカッション)