※「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN>龍王丸」はCD商品には含まれません。
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新たなマスターテープから蘇る平成ロボットの英雄譚、「魔神英雄伝ワタル」コンプリート・サウンドトラック

 独特のフォルムが印象的な、昭和〜平成のロボットアニメの金字塔「魔神英雄伝ワタル」。1988年の放送開始から37年を経て、シリーズが築き上げた音楽的遺産がついに完全な形で結実する。この6枚組CD/300トラック超という圧倒的な物量で、兼崎順一、門倉聡、神林早人らによる神部界の音楽宇宙の全貌を明らかにする記念碑的作品だ。

兼崎順一, 門倉聡, 神林早人 『『魔神英雄伝ワタル』『魔神英雄伝ワタル2』コンプリート・サウンドトラック』 SUNRISE Music Label(2025)

 Disc 1-2には「魔神英雄伝ワタル」、Disc 3-4には「魔神英雄伝ワタル2」のサウンドトラックとそのヴァリエーションを収録。Disc 5はそれらのエディットVer.集を。劇伴音楽とインストゥルメンタル楽曲が充実しており、作曲陣が描いた音楽的世界観に集中して浸ることができる。

 最大の話題はファン待望の“パワー全開!龍王丸”をはじめとする未収録劇伴音源の初CD化。新たに発掘されたマスターテープから収録される楽曲群は、既存アルバムでは聴けなかったファン垂涎の逸品。CDのボーナスとしてTVサイズ主題歌集も採用しており、聞き馴染んだ楽曲にも新たな発見がある。

 さらに今年5月開催の〈魔神英雄伝ワタル&魔神英雄伝ワタル2 〜おもしろカッコいいコンサート〜〉をフル収録。神成大輝指揮、仙台フィルハーモニー管弦楽団と、a・chi-a・chiをゲストに迎え大好評を博したオケアレンジ・ライブだ。劇伴がフルオーケストラで奏でられることで、当時の楽曲に込められた壮大なスケール感がより鮮明に浮かび上がる。

 パッケージ面のこだわりも注目だ。7月発売の「METAL ROBOT魂<SIDE MASHIN>龍王丸」とディスプレイ連動したコラボパッケージ仕様で音楽とフィギュアを横断した画期的な試み。三方背スリーブケースと合わせて、コレクターズアイテムとしても完成度が高い。

 マスターテープからの発掘にフルオーケストラのライヴ演奏、コンプリートとはまさにこのことか。アニメ音楽史の重要な一章として聴き継がれるべき記念碑となることを保証しよう。