Photo by Marco Borggreve

欧米で引く手数多、日本でも人気急上昇中の若き天才指揮者シャニ&ロッテルダム・フィルの最新録音!

 2018年に29歳でロッテルダム・フィルの首席指揮者、その2年後にイスラエル・フィルの音楽監督に就いたラハフ・シャニ。2026年秋からは、ゲルギエフの退任から長らく空席が続いたミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任することが決まっている。

 メンデルスゾーン作品を指揮したこのディスクを耳にすれば、そんな若くして輝かしいキャリアを築いた理由もわかるはずだ。

LAHAV SHANI, ROTTERDAM PHILHARMONIC ORCHESTRA 『メンデルスゾーン:交響曲第3番《スコットランド》他』 Warner Classics(2025)

 キレよくダイナミックなロッテルダム・フィル。そのオーケストラがしっとりと弦を歌わせ、管楽器も色彩豊かな表情で応える。オーケストラ持ち前の機能性とシャニの求める歌謡性が備わったメンデルスゾーン演奏となった。

 交響曲第3番“スコットランド”の冒頭楽章の序奏から、すでにその繊細な歌心が伝わってくる。内声部までよく歌わせるので、全体がしなやかな抑揚で波打っているかのよう。スケルツォ風の第2楽章では、オーケストラの俊敏なパスワークが映える。とりわけ第2楽章の木管の動機の受け渡しの華麗なこと。

 アダージョ楽章は、歌わせる指揮者シャニが、その主題にしみじみと詠嘆をにじませる。序奏で短調から長調へと移り、最初の主題を導く流れが丁寧に組み立てられているのもいい。再現部では、主旋律を歌うチェロに木管、そしてヴァイオリンの対旋律が綿密に絡み合う。終楽章は一転して、キレのいい主題を聴かせ、展開部の木管主体のフガートも運動性に満ち、そして晴れやかなコーダを響かせた。

 序曲“静かな海と楽しい航海”は、アダージョ部分の木管による音色麗しく、アレグロ部に入ってからの運びも快活だ。透明感もあって、じつに爽やか。

 そして、「無言歌集」より3曲。指揮者自らオーケストレーションした版による演奏だ。軽快な“紡ぎ歌”は、メンデルスゾーンのオリジナル作品を思わせる響き。一方、“失われた幸福”では、オーボエやホルンなど、次々にフレーズを担当する楽器を入れ替えることで、シャニが理想とする色彩美が追求されている。

 


LIVE INFORMATION
ラハフ・シャニ指揮
ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団

2025年6月21日(土)ザ・シンフォニーホール
2025年6月22日(日) 愛知県芸術劇場コンサートホール
2025年6月23日(月)ミューザ川崎シンフォニーホール
2025年6月25日(水)福井県立音楽堂 ハーモニーホール福井
2025年6月26日(木)サントリーホール
2025年6月27日(金)サントリーホール
2025年6月28日(土)横浜みなとみらいホール
2025年6月29日(日)所沢ミューズ アークホール
https://www.japanarts.co.jp/concert/p2124/