東芝グランドコンサートに登場~フランスの名門オーケストラとの共演に期待!
2月に来日し全国5カ所で公演を行う予定のルノー・カピュソン。名前の綴り(Renaud Capuçon)を見ればわかるように彼はフランス生まれのヴァイオリニストですが、ドイツ/オーストリアの作曲家による王道レパートリーを得意とし、数多く録音しています。彼の艶やかな「シルヴァリー・トーン」と、濃厚かつしなやかな歌いまわしは独墺の作曲家と相性がよいのでしょう。
今回の来日を記念し1月と2月に発売される再発シリーズでもモーツァルトにはじまりベートーヴェン、シューベルト、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、ベルク…と独墺だけでこんなに充実しています。特に、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの若手指揮者ネゼ=セガンと組んだベートーヴェンのコンチェルトはみずみずしく薫り高い名演で、もし未聴の方がいらっしゃればぜひこの機会にお勧めしたい1枚。さらにこのアルバムはカップリング曲のコルンゴルトにも驚かされます。カピュソンの目覚しい弓さばき、楽しげにとび、はね回る音がもたらす音楽的快感…!
さて、今回の再発シリーズの中にはもうひとつとっておきの名盤があります。それが『屋根の上の牡牛(フランス・ヴァイオリン名曲集)』。ここまでカピュソンの独墺ものにおける魅力について述べてきましたが、ディスコグラフィにたまに混じるフランスもの、これがまた素晴らしい。そしてこのアルバムの中で最も多く取り上げられているのがサン=サーンス、今回の来日公演曲目の作曲者です。ドイツ音楽の良さをいち早くフランスに紹介し、自国以上にドイツで高く評価されることもあったサン=サーンス。彼もまたカピュソンと相性のよい作曲家なのかもしれません。《死の舞踏》をはじめ収録曲は有名なものばかりですが、不思議とまったく新しい気持ちで聴くことができます。
しかしこうしてサン=サーンスの《序奏とロンド・カプリチオーソ》に《ハバネラ》、それにミヨーの《屋根の上の牡牛》(これはブラジルですが)を聴いていると、「カピュソンのサラサーテ」なんてものが聴いてみたくなってきます。ドイツのイメージとは正反対ですが、南の音楽も意外と合うのではないでしょうか。そういえば、来日公演曲目であるサン=サーンスの《ヴァイオリン協奏曲第3番》もサラサーテのために書かれています。さらに今回カピュソンとともに演奏するトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団はスペインに近い、フランス南西部の古都トゥールーズの名門オーケストラ……これは予想以上に面白いものが聴けるかもしれません。
LIVE INFORMATION
東芝グランドコンサート2015
○2/20(金)大阪/ザ・シンフォニーホール
○21(土)東京/サントリーホール
○22(日)広島/上野学園ホール
○23(月)福岡/アクロス福岡シンフォニーホール
○25(水)金沢/石川県立音楽堂コンサートホール
出演:ルノー・カピュソン(vn)、トゥガン・ソヒエフ(指揮)、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団