オーストラリアの獄中にいながら発表するというバックグラウンドも含めて衝撃的だった2005年の初作『THE LOST DOPE』からちょうど20年……あと2枚のアルバム・リリースを最後にラッパー引退を宣言している彼から、その1枚目にあたる新作が到着した。今回はDJ Mitsu the Beatsが全曲のプロデュースを手掛け、都会的なアップの“ひとつ屋根の下”からビートを多彩に作り分けて主役の言葉ひとつひとつに宿る思いや情緒をソウルフルに立体化してくるかのよう。いつも以上に落ち着き払った語り口の柔らかさも印象的で、スカーフェイスを思わせる“WE UP!!!”での穏やかな大団円も胸に迫る。