〈日本の作曲家たちの作品を再演して未来に繋ぐ大切さを伝える〉(本書あとがきより)という志のもと2003年の2月に設立演奏会を成功させて以来、20年を超えて活動を続けるオーケストラ・ニッポニカ。その公演プログラムに寄せられたテキストは作品や作曲家についての解説を超えて資料として注目を集めてきた。そのテキストを基に「近現代日本の管弦楽作品」と題され、新たに書籍化された。日本の管弦楽史を構築するというようなドラマはないが、本書には公演ごと、真摯に作品と向き合う研究結果が静かに積み重なって出来上がったアンソロジーがもつ誠実さが漂う。言うまでもなくこの本は未来に向かって、オープン・エンドなのだ。