『hugo』が2023年度のマーキュリー・プライズにノミネートされるなど、批評/商業面で成功を得ているサウス・ロンドン出身のラッパーによる4枚目のアルバム。ジャジーなヒップホップというこれまでの軸を保ちつつ、ドラムンベースのリズムが刻まれる“feel at home”といった音楽性の拡張に挑む曲が並んでいる。自身も“in my mind”では歌唱を披露するなど、ラップ以外の表現に積極的だ。父親としてみずからの子ども2人に希望を見つつ、だが人類は優しいのだろうか?と考える表題曲を筆頭に、日常の視点から社会に疑問を投げかける視座は深みを増している。