イギリスはサウス・ロンドン出身のラッパー、ロイル・カーナーが5月17日(木)、東京・渋谷WWWにて初の来日公演をおこなう。
ロイル・カーナーは2012年、MCモーグリ名義でMFドゥームのサポートとしてステージ・デビュー。以降、ナズからジョーイ・バッドアス、ケイト・テンペスト、ラット・ボーイまで、ラップ・ミュージックというジャンルに留まることなく音楽シーンの第一線をいくアーティストたちと共演を重ねてきた(ちなみに、キング・クルールとはブリット・スクールでの同級生だとか)。
カーナーが2017年にリリースしたデビュー・アルバム『Yesterday’s Gone』はセールス面で成功しただけでなく、マーキュリー・プライズやブリット・アワードへのノミネート、あるいは多数のメディアのイヤー・エンド・リストへの選出(インディペンデント紙では1位)など、高い評価を獲得した。まさに、ロイル・カーナーは昨年もっともブレイクしたイギリスのミュージシャン、そして、いまのイギリスを象徴するラッパーだといえる。
イギリスのラップ・シーンでは異色の、90年代のUSイースト・コースト・ヒップホップを思わせるジャジーなブーンバップ・ビート、赤裸々で私的/詩的なリリック、そしてクウェズやトム・ミッシュといった気鋭のミュージシャンたちによる客演など、聴きどころの多いインスタント・クラシック『Yesterday's Gone』。同作が、来日公演を控える4月4日(水)、国内盤CDとしてリリースされる。『Yesterday's Gone』の世界を堪能するためには欠かせないリリックの対訳とライナーノーツが付属し、ロイル・カーナーのラップを深く聴き込むための最良のアイテムとなっている。
ADHDとディスレクシア(難読症)をカミング・アウトしているカーナーの活動は音楽の領域に留まらず、ADHDを持つティーンエイジャーをサポートするための料理教室を開催するなど、彼の存在は次世代を担う子どもたちにポジティヴな影響を与えていることだろう。そんなロイル・カーナーのライヴはインスピレーションや感動を与えてくれるものになるはず。いま一度『Yesterday's Gone』を聴き、そのリリックを読み、待望の来日公演に備えたい。
スケプタやストームジー、ギグス、J・ハスらの活躍、あるいはドレイクの参入などによってグローバルな注目を集めているグライムとUKラップ・シーン。そして、ファット・ホワイト・ファミリーを中心に拡張し続けているサイケ・シーン。あるいは、シェイムやゲンガーらの登場によって再び盛り上がりを見せるロンドン周辺のギター・ロック・シーン。いずれのシーンからも若干離れた立ち位置とサウンドで、既存の枠に収まりきらない存在感を放つロイル・カーナー。この静かな語り口の男が英国の音楽シーンにおけるキーパーソンとなるのだろうか? いずれにせよ、いまもっともその動向から目が離せないミュージシャンのひとりであることはまちがいないカーナーの初来日公演、絶対に観逃せない。
LIVE INFORMATION
Hostess Club Presents Loyle Carner
2018年5月17日(木)東京・渋谷 WWW
開場/開演:18:30/19:30
前売り:4,500円(ドリンク代別)
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