サウス・ロンドン生まれのラッパーが発表したサード・アルバムにして傑作。ジャズやファンクの要素が濃いビートに合わせ、差別や自身のルーツなどさまざまなテーマを掘り下げる歌詞は聡明な批評眼で溢れている。ユーモアたっぷりの言い回しを多用しつつ、平易な言葉でラップしていくスキルは流石の一言。社会問題を描きながら、その社会で育まれた思いやりが滲む尊い瞬間も忘れない姿からはカーナーの優しさが窺える。