めでたい名前は伊達じゃない! ひたむきな思いを乗せた歌声で老若男女を惹き付ける関西レゲエ・シーン期待のシングジェイが、キュウキョクの打線を揃えて第2章に突入!
俺のサムライ・ロード第2章
「RED SPIDERのJUNIOR君と〈名前変えようや〉ってなって本名(の一字)から〈寿〉を取ったんですけど、『なんで〈君〉いるんですか?』ってJUNIOR君に訊いたら、『お前ローソンに〈からあげ〉って言って置いとったら買わへんやろ? あれ〈クン〉って付いてるから買うねん。ガリガリ君もそうや』って。あ、ホンマや思って」。
改名の顛末を気さくにそう話して笑わせ、親しみやすい人柄を覗かせた寿君。「歌い方やリリックの構成の仕方からライヴの見せ方まで教わった」というBESとの活動をルーツに、MOUNTAIN KINGから名を改め、大阪のサウンドであるBASS MASTERと歩みを始めて4年半余り。耳馴染みの良いメロディーセンスと真っ直ぐなリリックを併せ持つ彼のスタイルは、現場のダンスはもちろん、2枚のアルバムを含む数々の音源を通じて、関西のレゲエ・シーンから各地へと伝わった。このほど新たな環境のもと制作したミニ・アルバム『オレノキュウキョク』は、そんな彼がみずから第2章と位置付ける作品だ。昨年末、RED SPIDERプロデュースのコンピ 『Generation Shock』で念願のBESとの共演が初めて音源化されたことが、ひとつの節目になったと彼は言う。
「ずっと尊敬してたBES君との曲がRED SPIDERプロデュースでリリースできたんで、俺のサムライ・ロードの第1章が完結して、第2章へ走り出そうって思ってた自分がおったし、前作(『出会いの...~「KOTOBUKI KUN」Deh yah you know!?~』)は粗い部分もあったんで、成長ぶりを見せたかった」。
本作のリリースに動いたROCKERS ISLANDでトラックメイカーとしても活動する教授、ファースト・アルバムからの付き合いとなるエンジニアの上山満弘らをブレーンとした合宿的なレコーディングで、寿君が向かった先は沖縄。共に語り合い、いわく「制作チームの脳ミソとチューニング」しながらの曲作りは、全9曲に彼の〈究極〉を詰め込むべく進んだ。
「前作は俺が好きやから入れたいってぐらいの曲も入れたけど、今回は初めて全体の構成まで考えて作った一枚。マジメなことも言いたかったし、共感もさしたかったし、バーンと登場したぞ!みたいな曲も欲しかったし、笑かしたかったし、泣かせたかったしみたいな」。
なかでも、「思考は現実化する、(夢が)叶ってるなう、みたいなニュアンス」の曲だという冒頭の“THINK & GROWING”は、自己紹介的なEDMチューンだ。しっとりとしたバックに持ち前の歌心を思う存分溶かし、ポップセンスを見せつける“SUMMER LOVE”とはまた違った意味で、この曲は彼の挑戦のひとつ。新たな気持ちで臨んだ本作のド派手な幕開けを飾っている。
「“THINK & GROWING”は、一歩先というか新しい感じ。思いっきり刻んだフロウでDJを乗せてて、言ってることとかグルーヴはすごいレゲエなんですけど、レゲエじゃないよとか言われるかもしれない。そう言われたら俺はニカーッて笑ってる感じっすね。“SUMMER LOVE”も普段やってないような曲で、レゲエにこだわらず違う自分を見せた冒険のつもり」。