
再生産された学校空間しかない日本社会という地獄
夢咲「僕は全然、何にも追いついてないと思います。それこそ現代思想の概念を頭に入れたりする時に、自分は全然ダメだと感じる。そういう『(賭博黙示録)カイジ』とか『最強伝説 黒沢』的な惨めさが多分に内面化されてて、一方でカタめの本読んだりするっていう」
那倉「難しい本の話題も〈中卒無双〉という言葉のなかに入っていると思います。つまり、中卒だけど難しい本も読めるという。実際、そういう気分にはならないのでしょうか?」
夢咲「読めているのかどうかは怪しいです。100%読めているってことはないと思うので」
那倉「まあ、ないですよね。個人で反省するとそうなんだけど、例えば玉野勇希さん(ZENOCIDE/UNCIVILIZED GIRLS MEMORY)のことなんかを思い出すと、集団的に中卒無双状態とも言えるような」
夢咲「〈中卒無双〉というクルーがあるかどうかはさておき、学校空間における階級闘争みたいなものですね。アルバムの1曲目のタイトル(“初恋と戦争の準備”)に繋がるけど、人間は人格形成の時期において初恋とか戦争とか労働とかの準備を学校でさせられて、そこには先生がいて、あとはスクールカースト的な階級闘争がある。これが無限に続く地獄、資本主義の地獄の始まりだと考えてるんです。それが、小中高と続く学校空間のなかで再生産される。つまり、〈学校空間の再生産イズ地獄〉みたいな」
那倉「それは、学校を出て、普通に生きていても同じようなことがあるってことですよね?」
夢咲「それしかないんです。むしろ、その外部があんまりない」
那倉「日本人って、凄くスクーライジングされている民族だと言われることがあると思います」
夢咲「日本人って学校が好きなんですよ」
厨二病じゃなくてどうすんだよ
那倉「また、過去のインタビューでSNS上での〈学生の頃に出会いたかった〉という意見について〈気になった〉とおっしゃっています。これは、moreruの音楽が、実際のガキに実効的に届いているのかどうかが疑問だということかと思うのですが」
夢咲「はい。気になりますね」
Dex「つか、そういう意見は普通にウザいっすよね」
那倉「凄い距離感ですよね。それを言っている人たちって、人間的に仕上がっているってことですもんね」
夢咲「インタビューで〈厨二病ですよね?〉って訊かれて、〈うあー、なんて答えていいかわかんねー!〉ってなって」
那倉「私はみちるくんとのお付き合いを通して、厨二病という印象はあまり受けませんね」
夢咲「どうなんですかね。でも、〈厨二病じゃなくてどうすんだよ〉って思います。厨二病って、イタい奴のことですよね。〈ククク。気づいちゃったよ、世界の真実に〉みたいな態度のことですよね。俺はそういうことを確かにしているかもしれないけど、逆に〈なんでお前らはしないんだよ〉って思う」
那倉「厨二病状態って、加虐性と被虐性がぐちゃぐちゃになってて整理できてない状態を、自身の意識水準を高いと思っているひとが〈やられているのかやっているのか、わからなくなっていますよね〉と評している状況という言い方もできるかなって。ことmoreruにまつわることで言うと、そう思います。先に攻撃されたのかこっちが先に攻撃しかけたのか、わからなくなっちゃっているという」
夢咲「それはめちゃ詰め込んでるっす。だから、歌詞を読み返すと恐ろしくなる」
Dex「そういうのは俺たちじゃなくて、アウトプットされたものに対して言ってほしいですね。俺たちの身体性を超えて出来上がったものが、結局出力されたものだから。1つの単位としての身体とは違うものが出力されてるからさ」
夢咲「そう、それ以上のものですよ」