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バンドを客観性する新メンバー

――それで現メンバー5人に固まったのが2024年11月です。そこでバンド内の空気はまた変わりました?

「この5人の中で僕とギター2人(Kosuke、Liku)がヨーロッパツアーを経験していて、ボーカル(Yuki)とドラム(Toshiya)はその後に加入したので、彼らはある意味俯瞰でバンドを見ているところがあるんですよ。24歳のギタリストであるLikuも加入してまだ数年だから……5人中3人が近年のバンドを外から見ていたので、その客観性によるメリットはありますね。〈こうしたらどうですか?〉、〈ここはなぜこうなっていないんですか?〉とか、バイアスのない意見が結構出てくるので、その内部の変化は大きいですね」

――新しい気づきが多かったと?

「新しいメンバーから意見をもらうことで、これは譲ってもいいけど、これは譲りたくない、といった曲のプライオリティがはっきりしてきた部分はありますね」

――このバンドで譲れないものとは?

「音楽とは若干関係ないけど、衣装を変えたんですよ。とりあえず試そうという場面は多くなりました。メタルコアにも様式美があるけど、かっこ良ければなんでもいいのかなと。そういう気づきは多かったですね」

――自分の中のメタルコア像をいい意味で崩してくれた?

「そうですね。デモの段階でシャウトを入れていたけど、レコーディング本番ではクリーンの歌メロを足したりとか。あと、ドラムフレーズもレコーディングではある程度任せたんですよ。デモになかったフレーズが出てきても、〈こっちにしてもいいかな〉とか。ほかに〈ここはギターソロが欲しいんだよね〉って投げる場面もあったから」

――そういう作り方は今作が初めて?

「そうですね。僕が全部作って、それを投げるやり方は散々やったから。単純にやっていないことをやってみたいなと」

 

メタルコアの正当進化

――今作は初のフルアルバムになりますが、最初にどんな作品像がありました?

「メタルコアを正当に進化させる。それが一番やりたかったことですね。それはできたと思ってます。最近のトレンドで言えば、メタルコアにトラップ、EDM、ラップを入れて、がっちゃんこさせるバンドが多いと思うんですよ。あと、チューニングを極端に下げたりとか……それがメタルコアとして扱われている今のシーンに疑問を感じて。みんなが最初にときめいたメタルコアはこういうものなんじゃない?という主旨で作りました」

――最初に話していただいたオール・ザット・リメインズなどのメタルコアから受けた衝撃を大事にしつつ、2025年版にアップデートしたサウンドを作ろうと?

「そうですね。オール・ザット・リメインズはまさにそうで、今年出た新作(『Antifragile』)がすごく良かったんですよ。同窓会みたいなアルバムじゃないのがいいなと。〈10年前のメタルコア名盤みたいなやつ、みんな好きでしょ?〉という焼き増し感ではなく、確実にメタルコアではあるけど、ジェイソン・リチャードソン(ギター)が持ち込んだテクニカルの要素やフレージングに、メタルコアが進化している印象を受けて。

今僕がすごく疑問に感じてるのは、当時のメタルコア名盤に近いサウンドを現代で披露して、みんなが沸き立つのは意味不明だなと。僕がときめいたメタルコアはリバイバルではなく、突然メタルコアが出てきて、なんじゃこりゃ!?と思った音楽だから」

――なるほど。

「メタルコアに出会う前は、メロディックデスメタルが世界で最高のジャンルだと思ってたんですよ。で、メタルコアを知って、自分の中のランキングが更新されたんです。

ブレイクダウンになぜ熱狂したのかを考えた時に、予想できない曲展開がメタルコアの魅力の一つだなと。矛盾するんですけど、予想できない曲展開に期待しつつ、メタルコアのリスナーはブレイクダウンを欲しているところもあるから。その矛盾性を全てパッケージングしたものがメタルコアのいいところだなと。そもそもシャウトにクリーンボーカルを持ち込むのも矛盾しているし、その世界観に魅了されているのかもしれない」