さまざまなジャンルを取り入れる本来のメタルコア
――シャウトとクリーンボーカルの共存、加えて、曲展開をぶった切るようなブレイクダウンがメタルコアの魅力だと。今作も大枠で言えばメタルコアですが、Bitokuさんがこれまで通ってきた音楽ルーツが見事に反映されていますよね。メロディアスなハードロックからメロデス、メタルコア、プログレッシブメタルなど、ご自分のメタルリスナー歴が作品にもきちんと落とし込まれていて、さまざまな入り口が用意されているバラエティに富んだ内容だなと。
「ありがとうございます。さんざんメタルコアとは言っているけど……ジャンルのガーディアン的なムーブをしたいわけではないから。最初のメタルコアって本来どういう音楽だったのかという問いに向き合いつつ、このジャンルの要素がここで出てくるんだ!とか、最初にメタルコアに感じたものを自分でもやってみようと」
――予想外なアレンジや曲展開を盛り込もうと?
「そうですね。それをやれるジャンルはメタルコアだけだと思っていて。例えばJ-POPにいきなりブレイクダウンを入れたら、それは〈〇〇コア〉になっちゃうと思うんですよ。フュージョン、ジャズ、カントリー、EDMとか、何かと何かを掛け合わせたときに成立しやすいものがメタルコアだと思うから。ロック的なパートを入れたり、プログメタル的なパートを入れても、世界観が壊れないものがメタルコアだから」
――どんな要素を取り込んでもメタルコアになる。今作でそれを証明してますもんね。それと同時にメタルコアの新しい可能性を追求したい気持ちもありました?
「うん、まさしくその通りです」
――メタルコアだけど、ファイアーハウスが好きな人やドリーム・シアターが好きな人、あるいは、キルスウィッチ・エンゲイジやハードコア好きをも取り込んだ欲張りな一枚ですね。
「はははは、そうですね。自分でも欲張りな作品だなと思います」
ヒップホップも融合・昇華させたサウンド
――1曲目“Fire Rainbow”はアルバムバージョンとして録り直してますが、この曲はオープニングにピッタリだし、リフも非常にキャッチーですね。
「トラックリストを決めずに作っていて、〈どれがオープニングだろう?〉と話したときにこの曲じゃないかと。先にシングルで出していて、ライブでもやってたんですよ。ブレイクダウン・オブ・サニティが来日したときにメンバーがこの曲の一節を口ずさんでいて、〈あっ、これはキラーチューンだな〉と」
――口ずさめる要素は大切にしてます?
「めちゃくちゃ意識してますね。口ずさめるかがすべてというか、1曲に1ヶ所は口ギターができるかどうかは重要視してます。それはメロディアスなハードロックから来てるものですね。ハーレム・スキャーレムもそうじゃないですか」
――ははは、僕も大好きです。最高ですね!
「いいですよね」
――“Dreamchaser (feat. BVNE of NORMUNDY)”は今作の中でもフックのある楽曲です。中盤のリズミカルなパートでラップが乗るアプローチは新境地ですよね?
「そうですね。ラップ、ギター、ドラミングとか、メンバー全員が挑戦しました。一度風呂敷をめちゃくちゃ広げて、その後に包んだような曲ですね。今作から先行でどの曲を公開しようとなったときに、“Requiem”と“Dreamchaser (feat. BVNE of NORMUNDY)”が候補に上がったから。この曲はいいぞ!ってメンバー内で一致しましたからね。
ラップに関してはノルマンディーというアメリカのポストハードコア/メタルコアバンドにやってもらいました。もともとラップパートにするつもりはなかったけど、最近ラップを融合させるのはある種トレンドでもあるし、自分たちがやってこなかったことだから、やってみようと」
――メタルファンの中にはラップが苦手な人もいますが、Bitokuさんは抵抗なく?
「僕も最初はラップは音楽じゃない……そっち派の人間だったけど、結局それは自分のリスナーとしての甘さだなと。自分がいいと思えるラップ作品に出会えてなかっただけだから。いろんな音楽を漁る中で、ヒップホップの良さにも気づけて……とはいえ、遅いラップは好きじゃないから、早口なラップを導入しようと」
――曲のアレンジもかなり攻めてますよね?
「ポストロックと言えばいいのかな。アット・ザ・ドライヴイン、ザ・マーズ・ヴォルタとか、あっち系の複雑なアルペジオを組み合わせて展開させる感じ。それをメタルコアで昇華しようと」