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TechnoByobu〈Ghost in the Shell 義体(Gitai)〉

伝統的職人技の粋を集めた〈TechnoByobu〉の多層性

精神と肉体、ゴースト(魂)とシェル(殻)、実存とテクノロジー。音楽においても複合的な手法が多数採用されていることからもわかる通り、「攻殻機動隊」シリーズは重層的なテーマを内包した作品だ。そもそも上で挙げた各アニメシリーズおよびゲーム作品は、それぞれ原作とは異なる独自の物語を展開しており、いわばシリーズの数と同じだけの作品解釈が存在している。その多層性の象徴と言うべき新たなマテリアルが、日本の伝統工芸との融合を試みた〈TechnoByobu(テクノ屏風)〉の新シリーズ〈TB-02 : The Ghost in the Shell〉だ。

〈TechnoByobu〉とは、クラブ/エレクトロニックミュージックを中心に国内外の音楽とアートを扱い、先述のゲーム「攻殻機動隊~GHOST IN THE SHELL~」サントラのリイシューも手掛けたユーマ(U/M/A/A Inc.)が企画・販売する、MiWAKERU®による真贋判定技術が組み込まれている屏風アート作品だ。〈芸術・技術・技巧〉を意味するギリシア語の〈テクネ(téchnē)〉を語源としており、いわゆるテクノミュージックを意味する狭義の〈テクノ〉に限らず、未来を映し出すアートワークを職人たちの技術により屏風上に再構築し、現代のテクノロジーと日本の伝統工芸の融合を実現している。2023年には、YMOのUS版ファーストアルバム『Yellow Magic Orchestra』のジャケットのアートワークをモチーフにしたシリーズ第1弾〈TB-01:Electronic Fan Girl〉が話題となった。

〈TB-02 : The Ghost in the Shell〉では、原作コミック扉絵のフチコマに搭乗する草薙素子のイラストをあしらった〈The Ghost in the Shell 魂魄(Konpaku)〉と、押井守監督「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」のキービジュアルを屏風化した〈Ghost in the Shell 義体(Gitai)〉の2つの絵柄を、洋金箔・錫箔の2種の箔で表現した、計4種のラインナップが登場。そのデザインや製法においても、日本美術史家の安村敏信を監修に迎え、文化的背景を踏まえたこだわりが詰め込まれている。

箔押しは日本で初めて洋金箔を実用化した1905年創業の歴清社の職人たちによる手仕事。〈魂魄〉は琳派の代表作・風神雷神図屏風の構図を参考に、左側に大胆な余白を残したレイアウトを採用し、箔部分にはフチコマをデフォルメした模様を透かしのように薄く施すことで、琳派の繰り返しの美学とテクノミュージックの反復性を表現している。もう一方の〈義体〉は、菱川師宣の「見返り美人図」の構図をモチーフに草薙素子のビジュアルをレイアウト。箔部分には川井憲次が作詞した“謡”の歌詞の大和言葉が散らし書きされており、劇場作品の世界観ともマッチした風雅な趣きとなっている。

また、ビジュアル部分の印刷は京都の工房・サンエムカラー独自の技術〈カサネグラフィカ〉を用い、インクを積層させることで油絵のようなリアリティのある凹凸感を実現。特に〈魂魄〉は講談社に保管されている士郎正宗の原画から三次元データを採取したとのことで、実物に近付いてじっくり観察すると、原画の塗りがそのまま再現されているかのようなクオリティに驚かされる。〈義体〉は原画がセル画ではあるものの、ケーブルの部分などに膨らみをしっかりと表現。職人による伝統工芸の技巧と最新テクノロジーによる技術が融合した、まさに〈テクノ〉の粋を集めた屏風アート作品と言えるだろう。