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J-POP史に残る名曲を生んだアンジェラ・アキとSuperfly

また、今ではミュージカル音楽をも制作するアンジェラ・アキも2005年にメジャーデビューし、『Home』『TODAY』といったヒットアルバムをリリース。2008年にNHK全国学校音楽コンクール 中学校の部の課題曲となった“手紙 〜拝啓 十五の君へ〜”は、未来の自分に宛てた歌詞と大らかなメロディーでかつて学生だった大人たちの心にも響いたのだった。

アンジェラ・アキ 『Home』 エピック(2006)

アンジェラ・アキ 『TODAY』 エピック(2007)

現在は越智志帆のソロユニットであるSuperflyは、2007年のデビュー当初は多保孝一(ギター)との男女ユニットであった。松山大学の軽音楽サークルからはじまり、ライブハウスなどでの下積みを経てシングル“ハロー・ハロー”でメジャーデビューした直後には、いきなり「ミュージックステーション」の特番に生出演したことも当時話題となった。初期の作品はブルースロックやソウルなど洋楽からの影響が色濃く反映されていた一方で、カノン進行を用いた“愛をこめて花束を”のようなJ-POPの王道とも言える名曲も生み出している。

ちなみに〈女性シンガー〉にまで範囲を拡大すると、中島美嘉(2001年デビュー)、一青窈や元ちとせ(共に2002年デビュー)も2000年代を象徴するアーティストとして数えることができる。またユニットではあるが、2006年に“SAKURA”でデビューしたいきものがかりも、現在まで続く日本の音楽シーンの豊かさを表す意味でも重要な存在と言えるかもしれない。

 

系譜からはみ出たあいみょんの存在

2000年代は、1990年代末にデビューした浜崎あゆみ、宇多田ヒカル、aikoらが引き続きチャートを席巻していたなかで、ここまで名前を挙げたアーティストたちが台頭していった、まさに女性シンガーソングライターたちのスクランブル交差点とも言えそうな賑やかな時代だった。今の音楽シーンと大きく異なるのは、オリコンチャートが人気を測る最大の指標となっていたことで皆がアーティスト同士を比較しやすかったという点、そしてまだ平成以降の恋愛観やユーモアのようなものが比較的オーソドックスな形で表現されていたという点だろうか。後者については、時代毎に変化があって当然なので現在と直接比較するのはナンセンスかもしれないが、前者については動画サイトやサブスク毎で人気のバロメーターが違うため、逆に今ではヒットやブレイクといった言葉が乱用されているようにも感じられる。

また、こうしたテーマではあいみょんの名前を出したくなるが、彼女は吉田拓郎や浜田省吾といった男性シンガーソングライターからの影響を公言しているためか、その音楽性や表現において女性シンガーソングライターの系譜には連ねにくいところがある。むしろその系譜からはみ出した部分こそが彼女のオリジナリティーであり、それが2020年代的な在り方とも言えそうだ(一応補足としてあいみょんのメジャーデビューは2016年なので、本稿においては2010年代のアーティストとして括ることができる)。

こうして振り返ってわかったことだが、YUIや絢香らが今の音楽シーンになにか直接影響を与えたというよりも、彼女たちを見出しブレイクさせたメソッドこそが、その後の新たなシンガーソングライターたちの発見と育成に大きく貢献したということ。そうした才能の原石を見逃さない環境作りが、tuki.、TOMOO、乃紫といった新時代の女性シンガーソングライターたちの活躍に繋がっているのだ。