スマートグラスがパーソナルな没入型エンタメ空間を実現する
私たちが日常いつもデジタルデバイスを身体に装着することが、スマートウォッチの普及により少しずつ一般的になってきた。今年はアイウェアタイプの〈スマートグラス〉に注目が集まると言われている。
現在、スマートグラスには様々なタイプの製品がある。今年グーグルが発売するのではないかとウワサされているスマートグラスは、独自のOSであるAndroid XRとAIアシスタントの〈Gemini〉を搭載したいわゆるAIスマートグラス。音声で会話を交わしながら情報を検索したり、地図のナビゲーションや外国語のリアルタイム翻訳などが使えるようになりそうだ。
音楽や映画、ゲームといったエンターテインメントコンテンツの没入体験を深めるスマートグラスもある。このタイプのデバイスに力を入れているブランドがXREAL(エックスリアル)だ。同社の最新モデル〈XREAL 1S〉が1月下旬に発売された。
XREAL 1Sを装着すると、目の前10メートル先に最大385インチ相当の大画面スクリーンが現れる。映画館の特等席に座ってスクリーンを独占しているような没入感が、自宅のリビングや移動中の電車・飛行機の中などで楽しめる。
さらに本機は、通常の2Dで制作された映像をリアルタイムに3D変換する機能を搭載している。例えば、YouTubeにアップロードされているお気に入りのミュージックビデオや、スマートフォンのカメラで撮影したビデオなども、簡単な操作で奥行きのある立体映像に変換しながら体験できる。
XREAL 1Sが搭載するスピーカーユニットは、アメリカの人気オーディオブランドであるボーズがサウンドのチューニングに関わっている。Hi-Fiクオリティにこだわった音響設計なので、通常の音楽コンサートの映像作品のオーディオもまた真に迫る。映画やドラマを視聴すると、映像だけでなく〈音のリアリティに引き込まれる〉ような感覚が新鮮に感じられる。
従来のスマートグラスといえば本体が大きく重く、デザインも無骨なものが多かったことから、屋外では気軽に使いにくかった。XREAL 1Sは一般的なサングラスと大きく変わらないサイズ感とデザインを実現しているスマートグラスだ。フレームのカラーは明るめなブルー系なので、カフェやオフィスで使用していても、あからさまにデジタルガジェットを身に着けているような威圧感を周囲に与えにくい。
使い方もシンプルだ。iPhone 17 ProやPCなどのデバイスと、付属のUSB-Cケーブル一本で接続するだけで、デバイス側で再生する音楽や映像、写真にゲームなどのコンテンツが簡単に楽しめる。ただ、1つ気をつけたい点は、XREAL 1Sに映像や音声信号を送り出せるデバイスの組み合わせに条件があることだ。USB-C DisplayPort ALTモードに対応したスマホやPCなどのデジタルデバイスであれば、XREAL 1SにUSB-Cケーブルで接続してコンテンツを出力できる。これから購入を検討する際には、組み合わせて使う予定のデバイスが、先述の接続モードに対応していることを確認したい。
今まではどちらかと言えばニッチなガジェットだったスマートグラスが、生活の質を高めてくれる〈ほしいデバイス〉に進化を遂げつつある背景には、デバイスによるセンシングやインテリジェンス機能を快適に動作させる半導体の技術向上が目覚ましいことも理由のひとつに挙げられる。XREALは現在、グーグルのAI技術を統合した次世代モデルの開発も進めていることを公表している。エンターテインメントを楽しむことの他の用途にも、様々なタイプのスマートグラスが揃えば市場が一段と盛り上がるだろう。アイウェア型のデバイスによるエンターテインメント体験が、没入型コンテンツ制作の在り方も大きく変えるかもしれない。2026年はスマートグラスに要注目だ。
INFORMATION
【XREAL】XREAL 1S
https://www.xreal.com/jp/1s FP45365P.html

山本敦(やまもと・あつし)
オーディオ・ビジュアル専門誌の編集・記者職を経て2013年からフリーランスとして活動。ハイレゾやワイヤレスなど最新技術に対応するモバイル端末やコンシューマーオーディオの音質レビュー、使いこなしに関連する記事を中心に執筆。得意の外国語で海外有名ブランドの開発者インタヴューも数多くこなす。